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死についての思索(12)
2023年2月17日
死の自覚は我意と幻視に密接に結びついている。我意も幻視も付帯的ではなく、自体的であり、魂の根源的な源泉である。我意は多様と統一に作用し、幻視は仮象の産出に作用する。己を厳しい批判に自ら晒すものは矛盾を生産するであろう。矛盾は自覚的に生産されたものである。客観的矛盾などというものはなく、矛盾は主観的である。我意と幻視の作用増大にはこの矛盾の付与が関係している。矛盾なき我意も矛盾なき幻視も真に行為的とはならぬ。自己を死において自覚するとは、破壊するということである。建設的自覚などというものはない。真に自覚とは時代の殺戮者と成ることであらねばならない。真の自覚とは、死狂でなければならない。