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木教神話Ⅰ
遙か昔、神代と呼ばれた頃、何柱もの神々がおわしました。在ったのは神々のみで、世は光すらない混沌でした。そして悲しきことに、神々は争ってばかりでした。
誰が光となるのか。拠より所となる大地、揺り籠かごとなる海、全てを見守る空は誰が司るのか。命ある物の始まりを生み出すのは誰か。
折り合いはつかず、延々と争いが続きました。永く醜い争いを憂いた、ある一柱の神が、争いを止め、話し合うことを説きました。しかし、誰も耳を傾けませんでした。神は嘆きました。
ああ、我が口がもっと大きければ、我が声が届くものを。
その強い思いにより、口はみるみる大きく開きました。神は声を出そうと、息を体一杯吸い込みました。その勢いは凄まじく、争う全ての神々を飲み込みました。こうして唯一となった神こそ、真の神モーベロン様なのです。