2: 幼馴染に告白の結果を心配される①
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見事にフラれた英太くん。
けれど凛子とは気まずい雰囲気になる事はありませんでした。
教室に帰ると幼なじみがやってきます。
凛子と別れ、教室に入る。
教室には思い思いの場所で昼休みを過ごしたクラスメイト達がバラバラと戻ってきており、少し騒がしい。
入学式以来変わっていない席順のため、出席番号1番の英太の席は廊下側の一番前の席。椅子を引き、腰掛ける。
フラれたばかりといえ、気まずさなど一切無くあれだけ話せたのは凛子の気さくさか。
ともかく明日から凛子のための弁当作りが始まる。
自分の分だけ作っていた今日までとは違う。
明日は何を作ろうか。とりあえず直球勝負で生姜焼きとか鳥の唐揚げか。あ、シャケとかどうか。凛子はスポーツ選手だし、栄養バランスの良い弁当を提供してパフォーマンスが上がれば……。
そんな事を考えていると自然に顔が綻んだ。
頬杖を突き考える。五限目の授業の事なんか忘れて明日の献立に思考を巡らす。
「え、英太クン」
女子の声が英太を現実に引き戻す。
顔を上げると席の前に幼なじみの沢北六花が何故かソワソワしながら立っていた。
「……ああ、六花か」
小柄で、人形のように整った顔立ちをしている美少女。
六花は肩まである栗色のなめらかなミドルボブをヘアピンで飾っている。
くりくりとして包み込むような優しさを秘めた大きな瞳。よく手入れされた眉毛、上を向いた長いまつ毛。形の良いぷっくりとした柔らかそうな唇。
同級生と比べても明らかに小柄な彼女は、比較的スレンダーなシルエットである。
しかし高校一年生にしては……いや一般女性からしても発育の良いバストは男子達の視線を集めてしまうほど豊満。
凛子が美人なら、六花は間違いなく美少女と言っていいだろう。
美少女ロリ巨乳を地で行く六花を幼なじみにもつ英太への羨望と嫉妬の眼差しは絶えない。
そんな六花がなにか言いたそうに、しかし踏ん切りがつかない様子で何かモジモジ、それでいてソワソワとした様子で自身の制服の裾を摘んで……ぷにぷにと柔らかそうな頬を耳まで赤く染めて。
普段の明るい六花からは想像出来ない態度に英太は訝しげに首を傾げる。
「どうした? もうすぐ先生来るぞ?」
「……こ、こ……」
「こ?」
「その、こここ小清水さんにこここ……」
「……告白?」
どうやら凛子への告白の結果が気になるらしい。
英太が察してそう言うと、六花は言いにくそうに、けれど少々不安げに続けた。
「う、うん……あの、返事はもらったの?」
「あぁ、うん。ダメだった」
「ほ、ホント!?」
英太が断られた旨を告げると、六花の不安そうな表情は一変。
ぱぁっと、向日葵のような眩しい笑顔を咲かせた。
もちろんそんな反応をされた英太は面白くない。
「なんで嬉しそうなんだよ……幼なじみの初恋が終わったんだぞ!? お前は幼なじみの皮を被った悪魔か!?」
「いや、悪魔だろうと幼なじみは幼なじみなんじゃない? たまたま悪魔が幼なじみだっただけで……」
「悪魔は否定しとけ……」
頬に人差し指を当てて真顔で答える六花を目にした英太はガックリとうなだれた。
話を振ったのは英太だが、それに真顔で乗っかってくる当たり、六花の天然な部分が垣間見えた。
「それで、本当にダメだったの?」
「そーだよ。何回も言わせないでくれ」
もう一度念を押すように六花がそう聞いて来たが、それに対して英太は半目になってぶっきらぼうにそう答えた。
「…………た」
ボソっと六花が何かを呟いた。
やや潤んだ瞳は心底ホッとしたような光を宿しているように思えた。
「なんか言ったか?」
「ううん、別に何でもないっ」
一瞬六花が「良かった」と言ったように聞こえたが、まさか幼なじみがフラれてそんな事言わないだろうと英太は頭を切り替える。
「けど、すごく嬉しそうな顔してたよ?」
「うん、実は明日から小清水に弁当を作って来ることになったんだ。ふふっ、献立を考えてたらニヤニヤしちまった」
「え、それってどういう……!?」
――キーンコーン。
「ほれ、授業始まるぞ」
「え、ちょっと待って!」
告白してフラれたという話で終わらない雰囲気を嗅ぎ取った六花が続きを催促して食い下がる。
「ダメダメ。ほら席に戻れ」
しかし英太はそんな六花の両肩を優しく掴み、回れ右をさせて着席を促した。
「むー」
ほっぺたをぷくーと膨らませ口を尖らせた六花に英太は、しっし、と手を振ると数学の教科書を机から取り出した。
もうこの話はおしまいだと暗にそう言っているのだろう。
詳細を知らない六花は納得できないのか、まだ食い下がろうとする。
しかしやがて登場した数学教師に促された他の生徒に混じって渋々自分の席に戻っていった。
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