15:バレー部エースをBBQに誘う。そして
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ランニングと称して部活帰りの凛子を迎えに行った英太。
次の日も凛子とのお昼タイムでございます。
英太、少し頑張ります。
「バーベキュー!? 行く行く!」
次の日の昼休み。
この日も英太と凛子は五月晴れの空の下で昼食を摂っていた。
今日の献立は、水菜の肉巻き、豆腐のナゲット、にんじんとこんにゃくの白あえだ。
弁当を食べていると突然英太からバーベキューのお誘いがあったのだ。
そのお誘いに目を輝かせた凛子が食いついた所だった。
「あははっ、めちゃくちゃいい反応だな」
「もっちろん! 私、バーベキューってした事無いかも知れないわ」
「え、マジかよ」
田舎育ちの英太と違って、都会育ちの凛子の場合、バーベキューをする所に出向かなければならないので、バーベキューなどは比較的遠い存在であった。
一方、生まれも育ちも青葉市の英太はといえば、ことロケーションには恵まれており、市が運営する公園などではバーベキュー場が無料で開放されていたりする。
そうでなくても比較的土地に余裕があるので、自宅の庭などでやっても隣近所からクレームが来たりする事もない。
「うん、もしかしたらした事あるかも知れないけど、少なくとも記憶には無いわ」
「へぇ、じゃあ初めてのバーベキューって感じか? それは気合い入れなきゃな」
「場所は? どこでやるの?」
「俺んち。日曜日の11時ごろにあのコンビニに迎えに行くってのでどうだ?」
今度の日曜日はバレー部が休みなのは話の流れで知っていた。
日取りはもちろんそれに合わせているのだが、まぁそこはわざわざ言うことでもないだろう。
「オッケ、分かったわ。なんか用意する物はある?」
「いや、いい。必要な物はだいたいあるし。強いて言えば、やってみたいアウトドアの料理とかリクエストはあるか?」
「あるある、めっちゃある! えーっとねぇ。……アレ!」
「……ああ、アレな」
「いや、絶対分かってないでしょ」
アレなんて言われて分かるわけがないが、英太なりにノリに付き合ったつもりだった。
だから半目になっている凛子に納得が出来るわけがなく、英太は肩をすくめる。
「じゃあわかるように言ってくれ……」
「バーベキューと言えばアレでしょ。バームクーヘン!」
「どこの国のスタンダードだよ、母国か?」
「私は生まれも育ちも日本よ」
「それじゃあ尚更聞いたことないぞ。どうやってやったらいいんだよ」
もちろんその作り方は知識としては知っているが、バーベキューとバームクーヘンがどうしても結びつかないようで、英太は首を傾げる。
「えっとね……これよ」
凛子はスマホを取り出して幾つか操作すると、画面を英太に見せた。
それは大手動画投稿配信サイトの中に投稿されている一つの動画だった。
サファリハットを被ったお笑い芸人と思しき中年男性が、ファイヤグリルに焚き火を起こし、何やら料理のレクチャーをしている様子が映し出されている。
この動画の中で紹介しているのがどうやら御目当てのバームクーヘンの作り方の様だ。
「へぇ……こんな動画があるのか。ちょっと見せてくれ」
料理の事となると英太の目の色が少し変わった。
凛子からスマホを受け取るとマジマジと眺め始める。
目の色が変わったと言っても、プロの料理人などが見せる鋭いものではなく新しいオモチャを与えられた子供の様に純粋に輝く瞳で動画を見ている。
時折、うんうんと唸りながら顎に手を当てて何かしら納得しながら頷いていた。
そんな英太を眺めながら凛子は水菜の肉巻きを口に放り込んだ。
「どう? できそう?」
「まぁ出来るけど……これは時間がかかりそうだな。付きっきりになる」
「そっかぁ……じゃあ他のでもいいわよ。これとか……」
その後、凛子はやってみたかった事を英太に話て聞かせた。
よほど楽しみなのか、凛子は目を輝かせている。
そんな凛子を英太は優しい瞳で見つめながら頷いているのだった。
◇
放課後。
次々と昇降口から吐き出されて行く生徒たちを眺めるのは英太だった。校門に背中を預けてただ人を待つ。
部活へ向かう者、帰路につく者、皆思い思いの場所へ足を運んで行く。
「……あ、小清水」
その中でも一際目立つ金色の髪の少女。
それは言わずもがな凛子だった。
鼻筋の通った美人。長い手足、美しい金色の髪。
透き通る白い肌。誰もが振り返る美人だ。
英太は凛子のような美人と知り合いだというだけでなぜか誇らしい気分にさえなってくる。
英太の中では、凛子の存在はそれほどまでに大きくなりつつあった。
失恋したのはほんの二日前。
もしかしたら本来であれば、距離感が離れてしまいかねない出来事である。
しかし凛子の性格が彼を救ってくれた。
英太はそう思っている。
決して凛子がチャンスをくれたというわけでは無いとは思うが、それでも英太はチャンスであると捉えた。
天真爛漫な彼女。
前よりも近くで彼女を見ていると、今まで見えていなかった部分がたくさん見えてきた。
小さい事は気にしない大雑把な性格の凛子。
しかしことバレーの事に関しては非常に繊細な一面があるのだと感じた。
毎晩のように遅くまで自主トレをする凛子。
もちろん自分のためなのだが、チームの柱としての自覚が既に芽生えており、一年生にして既にチームを背負う覚悟を持ち合わせているようだった。
聞けば凛子は超高校級の腕前があるらしい。
数十年に一人の逸材だのと言われている、将来の日本バレーボール界を背負って行くであろうとまで言われている逸材。
そんなスーパーバレーボーラーが何故こんな平凡な高校に居るのかは分からない。
しかし弱小のチームであればある程、周囲は彼女へ期待する。
期待は選手の力になる。
パフォーマンスの向上にも繋がるだろう。
しかし、一定以上の期待はいずれ変化して負担になり……いつか重圧になる。
それは選手それぞれのキャパシティに寄るところが大きく、期待を力に変える〝チカラ〟もまた重要であるだろう。
しかしそれは様々な経験を経た超一流の場合である。
凛子は確かに一流の選手かも知れない。
……しかし、15歳の少女なのだ。
さくらが凛子のフォローをしているらしいが、それでも限界がある。
自主トレを終えた凛子を校門まで迎えに行った夜。
あの時の凛子の寂しそうな表情が忘れられない。
期待を力に変換する。それはもう限界に達しているはずだ。
何か力になりたい。
そう思った英太は行動に出た。
昇降口から出てくる人混みの中から目当ての人物を見つけて声をかける。
「青木先輩、重山先輩、お久しぶりです」
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