『交際相手なし』
「孝子!何やっているの?先方様、お待ちですよ。」
「はい、お母様、そんなに焦らせないでください。」
「まったく、今まで男の『お』の字もなくて、せっかく お見合いを、名古屋の書道の巨匠 神矢先生が仲人を引き受けてくれてくれたのに。」
「お母様、お父様、ごめんなさい。どうしても この着物の簪は生花がよくて、お花屋が開くのを待っていました。お蔭て遅くなってしまいました。」
「まったく。絶対にあの丹波のドラ婿を婿に迎えるのよ。頼んだわよ。孝子。」
「・・・・・・」
「孝子、その着物と簪、似合っていますよ。」
「お父様、ありがとうございます。」
着物姿でいそいそと廊下を仲居に案内されていた。
今日は歴史のある料亭でお見合いが行われる。その両名は
東京華道 宙流派の橘家の嫡女 橘孝子
大阪茶道 凜流派の丹波家の嫡男 丹波剣 と言った。
「東京の女は、やっぱりダメダメや。いつまでまたせるんや。」
「お父さん。僕なら大丈夫ですよ。」
「剣、そんなんだから、おまえは女ができんのじゃ。もっと強引にいかなアカン。」
「まぁ、まぁ。丹波さん。今日は私の顔を立てて、穏便に待ちましょ。」
「まぁ、先生がそう言うのならな。・・・・まぁ、こっちに嫁いでくれるなら、文句はないけどな、」
「失礼いたします。お相手の橘様がお見えになりました。」仲居が個室の前で襖越しに声をかけた。
「おお、そか、そか、お通ししてください。」
「失礼いたします。神矢先生、そして丹波様 お待たせしました。」孝子の父が入り口で答えた。
「まぁ、そんな所でなんですか。席についてくださいよ。」
「それでは、失礼いたします。」
「いや~、写真で見るよりエラい べっぴんさんやな~剣には勿体無いぐらいやで~」
「おとん、いきなり何言ってるの?」突っ込みを入れたのは剣の母だった。
両家の挨拶、食事、などが一通り終わり、仲人の神矢が「どうですか?お2人さん 中庭でも見て来ては?」
「そうですね。ご一緒いただけますか?孝子さん。」剣はリードした。
「はい。お願いいたします。」と孝子は剣と共に中庭に向かった。
中庭にて
・・・・・沈黙の2人 先に口に出したのは孝子だった。
「ねぇ、あなた。私の店にくる。尿飲家のケン君でしょ?」
「・・・・はい。申し訳ございません。 SM女王 アナル花道家のタチ華女王様。」
「写真を見たときは、笑ってしまいましたわ。」
「ほ、ほんとですか?こ、光栄です。」
「どうして、私が このお見合いに来たか分かりますか?」
「いえ、犬の僕には、女王様の考えなどわかるはずもございません。」
「本当に駄犬ね。この場じゃなければ、ムチで叩いているところですよ。」
「あぁ、女王様、変わりに その生花で僕をイジメていただけませんか?」
「ふふ、悪い子ね。」そう言うと人目につかないよう孝子は簪を外し剣のスーツの背中に忍ばせ、体に当て、棘のついたバラの枝を引き抜いた。
「あぁぁ・・ありがとうございます。女王様。」
「ふふ、あなた、私の元に嫁ぎなさい。そうすれば、私の夢のSM日本三道の道に一歩近づきますわ。」
「は、はい。」
個室から2人を見る両家は、これで、我が派も安泰だなっと お互いがそれぞれ勝手に思い込んでいた。
読んで頂き誠にありがとうございます。
今日のTwitterトレンド『交際相手なし』です。
わたし、交際相手がいるような、いないような。
あー、恋したい~w
それでは、またお会いいたしましょう。( *´艸`)