表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

万能薬と副作用

ある村の子どもだけに広まる謎の病。それに立ち向かう医者ホッペンハイムの人生。人は大いなる存在に救いを求めた結果、自分たちでは解決法が無いことを知る。

 ある村にホッペンハイムという若い医者がいた。容姿端麗で頭脳明晰。村で初めての医師ということもあり、大変将来を嘱望されていた。

 村では数年前から謎の病が流行り、人々を苦しめていた。

 その病は咳・倦怠感の症状が出た(のち)、一週間以内に死んだように眠りにつき、そのまま目を覚まさない病気だった。

 特筆すべきは、小学校に入る前の幼い子供しか発症しないということだった。

 正義感の強いホッペンハイムは、なんとかして病を治したいと思った。村の診療所に自分の代わりの先生として親友であるパッペンホイアを呼び、子どもたちの治療を任せた。

 ホッペンハイムはこの世のどこかにいる仙人に病を治す薬を貰おうと旅に出た、天竺へ。遂に彼は仙人を見つけ薬を頂いた。

 ホッペンハイムは希望に満ち溢れた顔で村へ帰ってきた。パッペンホイアに手伝ってもらいながら、眠る子ども達に薬を投与した。

 すると今までピクリとも動かなかった子どもたちの顔色に生気が戻り、数日後には元気に屋外で遊べる程に回復した。

 ホッペンハイムの起こした奇蹟はすぐに拡まり、村人から天才医師や神などと称賛され英雄の様になった。だがどこか浮かない顔をしていた。

 なぜなら子供達を治した薬は自分で調合したものではなく、仙人から貰ったものだった。

 ホッペンハイム自身は何もしていないのだ。そしてホッペンハイムの不安は的中した。

 薬を投与した子供たちが急に昏睡状態に陥ったのだ。恐れていた最悪の事が起きた。

 薬の副作用だ。今のホッペンハイムには、仙人の薬に対する解毒薬は持っていなかった。子供達を昏睡状態から救う手立ては無かった。

 ホッペンハイムは仙人という非科学的存在を信じ、利用した自分を悔いた。ホッペンハイムは解毒薬を手に入れる為、もう一度天竺へ行くことを決めた。

 親友に診療所を任せ、彼は旅立った。

 数年経った、彼は帰ってこない。診療所も眠る彼らもこの世界のどこかで今も存在しているらしい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ