表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

無への旅立ち

作者: 大河内健志


耳鳴りのする静寂。吸い込まれるような暗闇。


身体が軽くなって宙に浮かぶ。そして、流されてゆく。


「何処に行ってしまうのだろうか」


考えているボクがいる。


記憶のかけらが、映像を浮かび上がらせる。


ホームに無造作に転がるボクのスニーカー。


「片方は何処に行ったのだろうか」


探しているボクがいる。


もう終わった、どうでもいいと開き直るもう一人のボクがいる。


耳鳴りのする静寂。吸い込まれるような暗闇。


体が軽くなって宙に浮かぶ。そして、流されてゆく。


「何処に行ってしまうのだろうか」


考えている自分がいる。


記憶のかけらが、また一つ映像を浮かび上がらせる。


トングでつまんでゴミ袋に入れられた血まみれでボロボロになったボクのTシャツ。


「カラダは何処に行ってしまったのだろうか」


探しているボクがいる。


もう終わった、どうでもいいと開き直るもう一人のボクがいる。


「それを望んでいたんだろ?」


もう一人のボクが、質問してくる。


答えようとするが、言葉が浮かばない。


耳鳴りのする静寂。吸い込まれるような暗闇。


ああ、何も考えられない。何も感じない。何も思わない。

何も、何も、何も。何もない。


ただ、流されてゆくだけだ。


もう一人のボクの声も聞こえなくなった。


耳鳴りのする静寂。吸い込まれるような暗闇。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ