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露骨な私欲で異世界開拓  作者: 柏原 くらま
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プロローグ『威厳のカケラもない主人公』

 俺は今、名前も知らないような街の一角でただただ呆然と立ち尽くしていた。

 そこは、赤褐色(せきかっしょく)の三角屋根をした白い家や、大きな布の上に不思議な形をした金属器などを並べた商人達がわいわいと賑わっている。簡潔に言うならば、中世ヨーロッパ風の街並みといったところだろうか。

 すると、母親らしき人物の手を引っ張って歩く幼げな少女が向かいで足を止め、俺の方に指を差す。


 「ねぇねぇお母さん。なんであのお兄ちゃん、ぱんつしかはいてないの?」


 「こら! 見ちゃいけません! あぁいう人には関わっちゃダメよ」



 そう言うとその母親は娘の手を引き、足早に俺の前を去って行った。


 そう。

 俺は今、小一時間ほど前に飛ばされたばかりのこの異世界で、早速無一文になってしまっていた。



 「クロナーーー‼︎」


  少し遠くの方から俺を呼ぶ声が聞こえる。

声のする方向へ目をやると、息を切らせながらこちらの方へ走ってくる美少女の姿が目に入った。

  日の光を受けきらきらと輝く長い金髪。

  表裏のない純粋な心を写したかのような青い瞳と、きめ細やかかつハリのある肌。

  そして、俺が元いた世界とは全く別の、冒険者のような雰囲気を感じさせる服を身に(まと)っている。


 「はぁ……はぁ……やっと見つけた……」



 「シルヴィアか。どうしたんだよそんなに慌てて」


 「どうしたもこうしたもないわよ! 全く、ただでさえ魔法陣への謎の魔力干渉のせいでお互い別々の場所に召喚されちゃって慌てて探し回ったっていうのに、あなたと言う人は……まぁいいわ、とにかく合流できて良かった」



 そう言うとシルヴィアは安心したのか、ホッと息を吐いた。


 「それにしてもこんなだだっ広い街で、しかも小一時間程でよく俺を見つけられたな。もしかしてそういう魔法もあったりするのか?」


 「確かに人探し用の魔法は存在しはするけど、今回は使ってないわよ?」


 「そうなのか? じゃあどうして……」


 「どうしても何も、あなたの今の格好と周囲の目線を見て大体察しがつかないかしら?」


 ……?

 あれ、待てよ。さっき俺、自分のことをなんて……


 「街を探し回ってたら、道行く人がそろって同じようなことを話してたのよ。それで何の話をしてるんですか? って聞いたら、こっちの方向にぱんつ一枚で呆然と立ち尽くす怪しい黒髪の男がいるって」


 「あああああ‼︎‼︎」



 「ったく、やっと自分の置かれてる状況を理解したのね。 この先が思いやられるわホント……」


 「アイツ……」


 「……クロナ?」


 「ハメやがったな‼︎ あんのクソアマがぁぁぁ‼︎‼︎」


待ちに待った異世界生活のはずが、開幕早々とんだ災難にあっちまったってわけだ。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!初めなのでプロローグのみですが、これから沢山書いていくつもりなので、是非ブックマークよろしくお願いします!!

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