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6:とりあえずニートではなくなったから良しとしよう

 

 学園都市、そう呼ばれる街に私達はようやく辿りつくことができた。

 街に入るために関所で手続きしてから入り、馬車を一旦街にある商会の収容場所に入れてから外を探索する事が出来るようになる。


 外に出ればよくわかる生徒の多さ、商売をやって金を稼ごうとしてる人も入れば仲間達とショッピングを楽しんでいる人も居た。


「凄い活気だな......」


 と、アレスが思わずもらした一言に、一緒に着いてきて道案内をしてくれているベルツさんが笑いながら返答する。

 ちなみに護衛の皆さんは個人個人で別行動するそうだ。

 どうせ酒場やらに行ってるんだと思うけど......


「今は学園の休暇中だからね、そりゃ人も多くなるさ。 普段は皆、勉強や鍛錬のために学園に引きこもってるよ」


 この時期は商売も稼ぎやすくて良いんだよね。

 と、続けて話す。


「しかも、若者っていうのは流行に敏感だし、流行を生み出すことも多い。 僕たち商人が勉強になる街でもあるよ」


「なるほど......それで、俺達は今から何処に行くんですか?」


「ああ、まずは君が住むことになる学園の寮だね。 そこで手続きをして、アレス君を寮の人に任せたらもうお別れかな。 その際にアレス君が入学出来るって紙も一緒に渡すから大丈夫だよ」


 と、紙をちらちらと見せながら先導してくれる。


「あ、じゃあもうすぐお別れか。 ここまでありがとうございました!」


「いえいえ、またこの街に来ることもあると思うし、何かあったらよろしくね」


 そして街を歩く男二人、周りには制服を着ている子が多いから中々目立つわね......

 新しい入学生の子かな?って感じで結構注目されているみたいだがアレスは気付いていないようだ。

 ......あ、あの髪飾り可愛い。


 そんな感じで二人が無言で歩いて居ると、店の方から突然声をかけられる。


「へいへい! そこのご家族さん! 入学祝いにうちの店で何か買わないかい?」


「え、えっと......」


「おっと......この年でご家族は酷いなぁ、まだ僕はこんな大きな子供が居るような年齢じゃないよ」


 アレスは戸惑っているけど ベルツさんは慣れているようね。

 よくある事なんでしょう。


「おっと、そいつは失礼! ご兄弟ですかい?」


「いや、僕はこの子を入学させるために連れてきた人間さ、そんな親密な関係ではないよ」


「ほうほう、それじゃあ余り関係はないか......それじゃあ新入生君! オススメの商人が有るんだが見て行かないかい?」


 あ、アレスに矛先が移った。

 先に捕まえに行くのは金を持ってそうなベルツさんですものね。

 それでベルツさんが関係ない人ってなるとそのままアレスになるに決まってる。


「あっ......俺金持ってないんで良いです」


 まぁそうなりますよね〜

 孤児院でマリアさんからお金を貰ったかっていうと貰っていない。

 ようするにこいつは無一文だ。


「あっちゃぁ......それじゃあ仕方ないね」


 と言って頭を下げて店に戻る学生さん。

 ってかここで金を稼ぐ方法有るのか......?


『ねぇ、アレス。 バイトしてみない? 良いタイミングだと思うわよ』


 ならばこうやって誘導するしかない、中々面白そうだし働くとしたら良い職場になりそうだ。


『えっ、マジか......確かに金はあった方が良いしなぁ。 やるしかないか』


『ええ、やっておいた方が良いわ』


 アレスもやる気になったようで、あの店番の人に声をかける。


「なぁ、あのさ......」


「ん? どうしたんだ?」


「落ち着いてからになると思うが、その店で働かせてくれないか? 流石に金がないと大変だしさ」


 そうアレスが言うと、その人は凄いテンションで返してくる。


「おお、よっしゃ! 新人従業員早速ゲット! って言いたいけど、とりあえず採用するかは別だから、落ち着いたら寮にある俺の部屋に来てくれ。 あ、あと俺の名前はサラディンだ。 よろしくな」


 と、彼は紙にペンで何かを書いて渡してくる。

 B寮の304号室と書いてあり、どうやら寮の部屋だそうだ。


「それじゃあまたなー!」


 と、渡したらさっきとは違い元気に店へ戻って行った。


「寮についたら一ヶ月は生活出来るお金を渡そうと思ってたんだけど、流石アレス君。 もう仕事先を見つけるとは良いね」


「いやいや、唯のその場の流れですよ。 何を売ってるのかとか結局知らないし、どんだけ稼いでるのかってのもわかんないし......」


「まぁ、最初は自分にあった仕事を見つけるのも大変なもんさ。 合わなかったら辞めることだって出来る。 その調子で頑張りなさい。」



 途中で仕事を見つけるという事もやったが、ようやく寮につくことが出来た。

 寮の場所はD寮の306号室。

 現実世界の団地と同じような外観で、それがA〜Fの6つの建物がある。

 ベルツさんが寮長さんと話している間に部屋に入ってみると、そこには簡易ベッド一つと机一つがあり、ある程度広いスペースになっていた。

 住むには問題なさそうな環境だった。


 他の場所としては、一階に食堂と念願の大浴場!

 学園にお風呂があるということは事前に教えて貰っていたので、とても楽しみだ。

 早く浸かりたいわね!


『おっふろ、おっふろ〜楽しみだなー!』


『性格が何か凄い変わってるぞ......まぁ良かったな』


『ふふん、そのぐらい嬉しいのよ!』


 と、まぁそんな感じで喜んでいると、寮長さんとの話が終わったのか、ベルツさんが部屋に来て、アレスに話しかける。


「さっきも言ってたけど、まずはこれだね」


 と、最初に貰ったのはお金が入った小袋。


「とりあえずこのお金があれば一ヶ月は満足出来る生活が出来るよ。 毎日街で食べ物を買い食いしたりとかね。 それで、お金がなくなったらどうすることも出来ないから働いたりしてねって言おうと思ったんだけどもう仕事を見つけるとは思わなかったよ」


「あはは......」


 それで、次に貰ったのが置き時計と書類。


「この時計は僕からのプレゼント、時間がわからないと正確に行動出来ないからね。 で、この書類は入学式当日は何処にいけばいいのかとか、学園での勉強方針とか書いてある奴だから、使い終わるまではなくさないように気をつけてね」


「了解です! ありがとうございます!」


「僕から言えるのはこんな感じかなー......それじゃ、また会うのは次の大型休暇になりそうだけど、勉強がんばってね」


 そう言ってベルツさんは部屋から出て行き、遂に私達は1人になる。


『さて、ここから色々と困ることもあるかもしれないけど、頑張って行きましょうか』


『ああ、そうだな!』



次から24時一回投稿に切り替えますね



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