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5:退屈だからってはしゃぐと基本やらかす

 

 もしもし? 私、ティアさん。

 今、馬車の中に居るよ?


 冗談は置いといて、私とアレスは馬車に乗って一日ぐらいで学園に着くのかなーっと話しながら過ごしていたが、そうでもなかったみたい。

 未だに学園のがの字も見えない。

 二日ぐらい商品と一緒に揺られ、私は早くつかないかなー、暇だなー、とか思いながら魔法をどう効率的に使おうかっていうのを考えていた。


 ちなみにアレスは馬車といっても座る場所なんてなかったので、ずっとぴょんぴょんと身体が跳ねていた。

 しかしアレスの心はぴょんぴょんしてないでうんざりしてたみたい。


『お前は良いよなぁ......この苦痛を味わう事が出来なくて』


『最初は学園ってどんな所なんだろうな! 楽しみだぁ、何を教えて貰えるんだろう! とか言ってたのにテンションの落ち方が凄いわね......』


『結構辛いんだよこれ、小説とかで色々見てたけど実際に体験すると辛いなぁ......外、歩きたいけど居たらガベルさん達の邪魔になるだろうし』


『まぁそりゃそうでしょうね、ガベルさん達もお金貰って護衛してるんですから』


 念の為にいっておくと、ガベルさんは護衛として商品を守るように周りを歩いている。

 ガベルさん以外にも護衛をしている方が二人いて、各方向からくる敵に備えてるのだ。


 私にとって残念だったのが、魔法使いタイプの人が居なかった所だろうか。

 生活魔法以外の詠唱を教えて欲しいんだよね......生活魔法って実は最強なんだぜ! みたいな縛りをしてドヤァするような事はしても意味ないし、学園の入学時に変なことがあったりしたら嫌なのだ。

 貴方達には、今から殺し合いをして貰います。とか、隣の席の人と決闘して勝たないと入学出来ません。みたいなさ。


 入学試験も特になかったし、王族? みたいな偉い人も居るらしいから多分、お金とマリアさんに確認してもらったある程度の魔力の量さえあれば簡単にいける学園なんだろうと信じている。


 そういや何年学園生活送るか知らないなぁ......ってのは置いておこう。


 今回は私の魔法の成果だ。

 まず、生活魔法は全て無詠唱で発動出来るようになった。

 ガスコンロ魔法のティンダー。

 水を出す魔法のウォーター

 洗濯物を乾かす魔法のフィン

 畑を耕す魔法のスネア

 この四つである。

 一番習得が難しかったのが、スネアだ。

 まず、畑というある程度土壌がしっかりしていて、一度耕した土地で無いと使用しても効力がない。

 魔法の内容としては、畑の土に空気を含ませて耕した状態にするとなっているので、普通の土だと硬すぎて耕すまでに行かないのだ。

 多分他の詠唱でなら何とかいく可能性もあるのだろうが、スネアでは無理だった。


 魔法教書にも、農家専用の魔法だし、ちょっと難しいが応用として書かれてたからね。

 自分でも使える機会が限られるし、わざわざ無詠唱で出来るようにする練習をしなくてもよかったような気がしなくもない。


 とりあえず農家さんはやっぱ凄いやって思いましたとさ、まる。


 それでティンダーとウォーターは小さな火と水を出す魔法ね、アレスがやらかした奴だ。

 ウォーターは詠唱を見る限り、水を出す。ということしか指定されてなく、出す量と出す位置を有る程度調節することは可能だったが、ウォーターカッター! みたいな殺傷性が有るものは出来なかった。

 ティンダーはそれに加えて火種となる大きさの火しか出せなく、そこまで汎用性はないように感じた。


 それで最後の洗濯物を乾かす時に使う魔法、フィンだが、有る程度自由に操作でき、洗濯物を乾かす程度の風しか出すことは出来なかったが土でも持って相手の眼球に飛ばせば中々良い目くらましにはなるだろう。

 何しろ身体を簡単に乾かせるのが良い、気に入ったぜ。


『と、まぁこんな感じに能力を手に入れたのよ』


『まぁ、生活魔法だからかもしれんが、地味だなぁ...... ああ、ファイアーボール撃ちたい......』


『生活魔法だからねぇ......そりゃそうなるわよ』


 と、アレスにも話しつつ、ゆったりと過ごして居ると凄い音をたてて馬車が止まり、荷物置きの幕が開く。


「おい坊主! 盗賊が襲いかかってきたからそこにじっとしてろよ! 敵が入ってきたら自衛しな!」


 と、ガベルさんとは違う護衛の方がわざわざ注意して教えてくれる。

 盗賊か......やっぱり居るものなのね。


『さて、アレス。 ちょっと警戒して置いた方が良さそうね』


『ちょっとどころじゃないと思うんだが......まぁ護衛の人が何とかやってくれるさ』


『バカ、とりあえず入り口に待機して見知らぬ人が居たら斬りかかるようにしなさい。 油断は禁物よ』


 こいつは楽観的すぎる。

 敵の数が何人居るか、護衛と戦うのは陽動で荷物を奪う事をメインにしてるやつが居るかもしれない。


『人を斬るのは抵抗有るかもしれないけど、貴方が持ってるのは木の剣。 殺すまではいかないと思うから安心してぶん殴りなさい。 人を攻撃する感覚も覚えておいた方が良いわ』


『なるほどな、とりあえず隠れておく』


 少し足音をたててしまったが、多分気付かれてはないだろう。

 入り口の隣に陣取り、奇襲の準備は万端だ。


 ......そして布が開く。


『いまよ!』


「うおおおおおおおおおおおっ!!」


 ゴスッと鈍い音を出し、入ってきた男は倒れる。

 どうやら気絶したみたいね。

 そしてどんな奴なのか顔を眺めてみると......


『よし、やったわね!......って、あ』


 私達は肝心の事を忘れていたのだ。








 ——この人、護衛の人じゃね?














 ◆




「ほんっとうに! 申し訳ありませんでしたぁ!」



 学園都市にもあとわずか、そんな所でアレスが攻撃してしまった護衛の人の目が覚め、体調も良くなってきた所でアレスが平謝りする。


 いまよ! とか叫んだ私も重罪だわこれ。

 本当に申し訳ない......


 アレスが攻撃した人だが、盗賊が逃げて行った事を教えようときてくれた人だったと聞いている。

 盗賊を追い払ったと思ったら身内からやられるとは思わないわよね......


「まぁ警戒しなかったこいつが悪い! 坊主、お前は俺が言った自衛しろって言葉をちゃんと守ったんだ。 良いことじゃねぇか!」


 と、最初に盗賊が着たことを教えてくれた人は擁護してくれたが、やっぱりガベルさんには怒られた。


「全くバギさんは......とりあえず、アレス。 入ってきた人を奇襲出来るように待ち構えてたのは良いけど、ちゃんと顔ぐらいはみてね」


「はい......」


『何かとばっちり受けてるみたいでごめんなさいね......謝るわ』


『いや、まぁ俺も経験になったよ......』


「バギさんよう、まさか身内に攻撃されるとは普通思わんわ、しかも守る対象だぞ?」


「あっはっはっは! 守る奴にやられるとはなっさけねぇなぁザケルの旦那よ!」


「うう......そう言われちゃ何とも返せねぇや。 とりあえず坊主、俺は何ともないから安心しろや。給金が減るのはちと厳しいけどな」


 アレスが間違って攻撃した人——ザケルさんもあまり怒っていなくて安心した。

 優しい人なんだろう。


「大丈夫、荷物は無事だから給金は減らしませんよ。 皆さんお疲れ様です。 もう学園がある都市は見えてきたんで、そこについたらアレスとはお別れかな」


「おおマジか! 助かったぜベルツさん!」


「いえいえ、当然の事です」


 そんな彼らを連れて馬車は進み、もうすぐ、私達の馬車の旅は終わる。



 ——私達が生活して居た場所よりも、かなり大きい街が見えてきた。


※TRPG知ってる人しかよくわからない余談


今回はアレスがちゃんと敵に攻撃を与える事が出来るか、ティアが敵が入る可能性を示唆してアレスを指定の場所につける事が出来るか、というのをサイコロを使ってやってみたのですが、見事に最後の攻撃が命中するか、でやらかしてくれました。

1d100→98

ファンブルです。

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