異界のドラゴン プロローグ
薄暗い部屋を照らすのは、青い光。
その部屋はかなり広く、何万人ぐらい入れるだろうと冴えない頭で考えてみたけど諦めた。
少し身体を起こして周りを見てみると、10人ほどの人がこちらを見ていることに気が付いた。
一歩こちらに近づいたのは白いローブを羽織った老人。
その老人は両手を天に向けて大きく広げ、部屋に声を響き渡らせた。
が、私には老人がホニャバルなんちゃらと意味の分からない事を言っているとしか思えなかった。
何言ってるんだと欠伸をしたその時、いきなり背中に鋭い痛みが走る。
「イッダ!」
何なんだと勢いよく振り返れば目の前に壁、下の方を見れば慌てて人が2人ほど穴の中へと消えた。
その後を追おうと近づいてみたけど、頭が何かにぶつかって進めない。
そしてごり押しするのも痛いなと思っていたら、急に眠たくなってしまった。
目の前が何度も何度も暗くなり、ついに私は眠ってしまったのだった。
目を覚ますとそこはさっきと同じ部屋。
さっきはずっとぼーっとした感じでよく見えなかったが、ここは神殿のようなところだった。
神殿のようなと言っても、私はゲームでしか知らなのだけど。
壁全てが石みたいだし、どこから光を当ててるのか知らないけど所々外からか青い光が入っていて幻想的でそこそこ周りが見える。
何処からか水も流れているらしく、床が濡れている。
まぁ私のイメージが此処は神殿なのだ。
周りを見渡せば相変わらず私は高いところに居るらしく、地面が遠い。
何故だろうと真下を見ると、濡れてるのかテカテカして太い柱のようなものが見えた。
気持ち悪いなと思いながらよく見るとそれは動き、光が反射していろんな色に変わる。
「ひぃ~キモいキモいマジキメェー!」
とガチで引いてたら、頭を打った。
何だと振り返ろうとしたら顔をぶつける。
「何で!」
下がってみてみると天井で、さっきよりも地上から離れていた。
まさか私はこのくねくね動くものの上に乗っているのか。
気持ち悪いから早く下りたいけど高いし、何かが変だ。
何かと言うのは、よく分からないのだけど。
何だろう?
この柱、私と一緒に動いてないか?
私が後ろに下がると同時に動いてる気がする。
地味にこの部屋に居ると圧迫感がある。
ふと、視界に水溜まりがうつった。
何となく気になり覗いてみると、長い頭に恐ろしい牙に鋭い瞳。
わおっ怖~い!
「って、冗談だよね?!」
嫌だ嘘、冗談でしょ?!
そう願った瞬間、目の前に一筋の光が差し込んだ。
その光は白く輝き、大きくなっていく。
外!
身体が自然と光の方へと引き寄せられるように飛んだ。
私はこれで!
少しずつ見えてきた世界。
それは。
大きな高い壁に囲まれた世界だった。