店舗まで。
宿泊先から。
僕の足だと30分あれば余裕でつく勤務地。
今日は鈴木さんも居るので少し早めに出る事に。
こんな事を言ったら怒られるんだろうけど。
僕は出張の際、極力荷物を少なくして居るんでリュック一つで事足りる。
一方、鈴木さんは・・・。
スーツケースで来ている。
僕が通勤時に通る道は段差がちょいちょいあるのだが・・・。
その度に鈴木さんはスーツケースを持ち上げて結構大変そう・・・。
見ていられなくなり・・・。
『僕が持ちますよ。』
『い・・・いえ。自分の荷物なので自分で持ちます。』
あっさり断られてしまった。
そして、僕は出勤前の用を足す為、電気店へ・・・。
だが・・・入った事をこの後凄く後悔した。
思いの外そこの店で時間を取られてしまい、結果僕と店の外で待っていた鈴木さんは遅刻・・・。
2人揃って高杉チーフから注意をされる事に。
『2人共揃って遅刻とは・・・。理由は何だ?』
『申し訳ありません。僕の所用に鈴木さんを付き合わせてしまい、遅れてしまいました。』
『も・・・申し訳ありませんでした。私が徒歩で店舗へ向かうと白石さんに言ってしまった為、遅れてしまいました。』
『ふむ・・・。今回はともかく、次回は気をつけてくれ。』
何とか雷は回避できたが・・・、店スタッフ全員が知るところになった。
『白石君が遅刻ねぇ・・・。珍しいねぇ。』
『すみません。春崎さん。予定外の事とは言え遅刻は遅刻なので。』
『かったいわねぇ。ねぇ雑賀?』
『春崎・・・あなたの感覚が緩いのよ?どんな理由があったとしても遅刻はだめだと思う。白石さんだけではなく、鈴木さんもよ?』
『も・・・申し訳ありません。雑賀さん』
『ほんと雑賀はきついんだから・・・。さ、仕事仕事。』
『ちょ・・・春崎。まだ話は終わってないんだけど・・・。』
『はいはい。』
春崎さんはそう言うとウインクしてカウンターへ入っていった。
どうやら僕と鈴木さんを雑賀さんの小言から庇ってくれたらしい。
僕は雑賀さんの気がこっちに向く前にと、鈴木さんに合図し仕事を開始した。