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300文字で行こう

壁の向こうへ

作者: asaghi

「此処から先には、何も無い。存在しない。」

何が有ったのか、大人達は、過去の事は、何も話そうとしない。

蒼い空の下に、無表情でぶっきらぼうな、石と鉄の中間の素材で出来た壁が遥か高く、聳え立っていた。それは、挑戦を阻んでいるかのようにも見え、また、壁でぐるりを取り囲まれたこの“世界”を慈しむ物にも見えた。

「何も無いんだ。」

彼は、只一人、厚く頑健な壁に手を付いて叫んだ。

「壁を乗り越えて、壁の向こうに行った所で、何一つ有りはしない。」

その言葉を彼も納得したかに見えたその時。

つい、と光を受けて、何かが羽ばたきながら、壁の頂上に降り立つのが見えた。

彼の顔が、憧れに、くしゃくしゃと歪む。

そこに、蜻蛉が、一匹。



                  * The End *

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― 新着の感想 ―
[一言] 僕は、モラトリアムの中にいる男の心象風景がイメージされました。
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