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第七章 孤独
私はスマホを翔太に投げつけた。
鈍い音が部屋に響く。
スマホが床に落ちる。
私はそのまま玄関へ向かった。
何も考えていなかった。
ただ。
ここにいられなかった。
ドアノブを掴む。
手が震えている。
そのままドアを開けた。
外の空気が流れ込む。
私は靴を引っかけるように履く。
そして。
そのまま家を飛び出した。
階段を降りる。
足音が大きく響く。
胸が苦しい。
息がうまくできない。
私は外へ出た。
朝の街。
人が歩いている。
車が通る。
誰かが笑っている。
普通の世界。
でも。
私はその中を走った。
走って。
走って。
それでも。
胸の奥の恐怖は消えない。
私は足を止めた。
その瞬間。
周りの音が、少し遠くなる。
人の声。
車の音。
全部。
少しずつ遠ざかる。
私はゆっくり顔を上げる。
街の景色が、ほんの少し歪んでいた。
私は立ち尽くす。
そして小さく呟いた。
「……やだ」
でも。
もう分かっていた。
私は。
一人だった。




