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世界樹の根に転生した俺、 気づいたら世界を支えてた  作者: 天城ハルト


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第27話 破綻

最初に来たのは、

警告でも悲鳴でもなかった。


沈黙だった。


世界樹の根を流れていた情報が、

一瞬、途切れる。


「……来たな」


負荷が、上限に触れた。


大規模ではない。

だが、連鎖的に重なった異常。


今までなら、

俺が無理をして処理していた。


今は――

できない。


〈負荷上限、超過〉

〈根、停止〉


淡々とした通知。


感情も、ためらいもない。


「……止まった」


世界樹の根は、

本当に止まった。


初めてのことだ。


痛みは、ない。

引き裂かれる感覚もない。


ただ、

“動かなくなった”という事実だけがある。


地上で、変化が起きる。


異常は、消えない。

補正が入らない。


世界に、

“未処理の歪み”が残る。


「……耐えろ」


誰に言ったのか、

自分でも分からない。


都市では、

魔法の反応が鈍る。


農村では、

作業が遅れる。


奇跡は起きない。


だが――

世界は、崩れなかった。


人が動く。


備えが使われる。

代替手段が試される。


祈りが、

すぐには届かないことを前提に、

人が判断する。


「……やってるな」


俺は、

世界の動きを見つめる。


混乱はある。

不満もある。


だが、

致命的な崩壊は起きていない。


小さな損失は出た。

間に合わなかった支援もある。


それでも――

世界は、持ちこたえた。


「……これが、

 根が止まった世界か」


エル=リュカの気配が、

少しだけ近づく。


「想定より……

 壊れてないわね」


「ああ」


正直、

もっと酷いと思っていた。


全部が連鎖して、

取り返しがつかなくなると。


だが、

世界は思ったより、強かった。


〈負荷低下〉

〈再起動可能〉


通知が来る。


上限以下に戻った。


根は、

再び動ける。


「……再開するか」


一瞬、

迷いがよぎる。


また、

全部引き受けてしまわないか。


だが、

仕様は変わっている。


止まることも、

もう含まれている。


〈根、再起動〉


静かに、

流れが戻る。


世界樹は、

再び世界を支え始める。


だが、

以前と同じではない。


止まった事実は、

消えない。


世界も、

神も、

それを観測した。


「……見られたな」


エル=リュカが言う。


「ええ。

 もう“誤差”では済まない」


どこかで、

神が気づく。


世界樹が、

自ら止まったことに。


俺は、

根の奥で、

静かに構える。


壊れなかった。

だが、

誤魔化せなくなった。


それで、十分だ。


世界は、

一度、破綻した。


そして――

壊れなかった。


それが、

次の対話を呼び込む。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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