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世界樹の根に転生した俺、 気づいたら世界を支えてた  作者: 天城ハルト


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第22話 テストケース

異常は、目立たない形で現れた。


規模は中程度。

人命への直接的な影響は低い。

だが、放置すれば連鎖する。


――以前なら、即座に根が処理する案件だ。


「……ちょうどいいな」


冷たい判断だと、自分でも思う。

でも、これは“実験”だ。


世界樹の深層で確認した初期設計。

そこに残されていた、使われなかった選択肢。


それを、

実際に使ってみる。


「……条件確認」


発生地点。

周辺人口。

時間的猶予。


致命的な要素はない。


「……いける」


俺は、処理ルートを組み替えた。


異常の一部を、枝へ。

時間がかかるが、祝福は届く。


別の一部を、幹へ。

神の管理領域だが、

“自動補正”として扱われる範囲。


根は、

最後の保険として残す。


今までと、真逆だ。


世界の流れが、

一瞬、引っかかる。


即応がない。

奇跡が起きない。


代わりに、

世界が“考えている”感覚があった。


「……持て」


俺は、介入しない。


歪みは、ゆっくりと広がる。

だが、臨界点までは届かない。


時間が経つにつれ、

枝の祝福が届く。

遅い。

だが、十分だ。


同時に、

周囲の環境が変化する。


地盤が、自然に締まる。

魔力の流れが、再編される。


誰かが祈り、

誰かが対策を講じ、

誰かが工夫する。


奇跡じゃない。

普通の努力だ。


そして――

異常は、収束した。


「……成功、か」


根に返ってくる負荷は、

驚くほど軽かった。


痛みが、ない。

鈍い重さも、ほとんどない。


「……これなら」


胸の奥で、

小さな希望が芽生える。


全部を即座に直さなくてもいい。

世界に時間を与えれば、

世界は自分で立つ。


それは、

第1部で感じた仮説が、

実証された瞬間だった。


〈局地的不安定、解消〉

〈原因不明だが、結果良好〉


上からの報告も、

いつも通りだ。


問題はない。

異常は解消された。


誰も、

「奇跡が遅れた」ことを

問題にしない。


「……今は、な」


俺は、

成功の余韻を噛みしめながら、

同時に理解していた。


これは、

選択だ。


即座に救う代わりに、

待たせる。


確実に助ける代わりに、

可能性に任せる。


それは、

誰かにとっては

“助けが来なかった”と

感じられるかもしれない。


「……万能じゃないな」


だが、

今までのやり方だって

万能じゃなかった。


壊れる前提で、

誰かが犠牲になる。


それよりは――

マシだ。


俺は、

世界全体の流れを確認する。


異常は、

他にも起きている。


だが、

今すぐ対応すべきものはない。


「……もう一段階、いけるか」


思考が、

次へ進もうとする。


だが同時に、

胸の奥に、

小さな違和感が残っていた。


成功しすぎている。


それが、

一番の不安だった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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