第49話 結局男は皆ドMである
※このエピソードには一部に過激な性的描写が含まれています。読者の皆さまの年齢やご気分に応じてご判断のうえ、お読みいただけますようお願いいたします。
とある日の放課後。
部室には俺と赤槻の二人しかない。
なんだか久しぶりだ。
以前、比屋根が大暴れしていたグループラインから、笛吹は『ネット友達とオンラインゲーム』比屋根は『執筆作業』とメッセージが送られていた。
《アオハル部》は月~金、学校がある日に毎日活動しているが、強制ではない。
行きたければ来ればいいし、予定があったり行きたくなかったら別に来なくていい。
決して強制はしない。
あくまで個人の意見を尊重。これこそが《アオハル部》だ。
ちなみに俺はよほどのことが無い限り、毎回顔を出している。
何と言ったって部長だしな。
……本音を言うと、家に帰ってもすることが無いからだけど。
赤槻の参加頻度も結構高い。
ああだこうだ言いながら、アイツは《アオハル部》が好きなんだよなあ。全くこのツンデレちゃんは。
赤槻はいつものように窓際の特等席で勉強をしている……と思ったが、なぜかこちらに近づいてきた。
向こうから俺に近づいてくるなんて、どういう風の吹き回しだ。
「よ、よお……」
「今日は二人みたいね。二部崎先生も仕事が忙しくて来られないみたい」
「ああ。みたいだな」
「貴方と二人きりなんて心底不愉快だけれど、まあいいわ。ゲームでもしない?」
「お……いいぞ」
赤槻の方からゲームの提案をするなんて本当にどういう風の吹き回しだ。
風が吹きすぎて、竜巻でも発生するんじゃねえの?
当然俺に断る理由はないわけで、快く了承する。
「で、何のゲーム?」
「王様ゲーム」
「ああ。あれか。でも、二人だとできなくないか?」
「私が女王様で貴方が下僕、固定で」
「そんな理不尽な王様ゲームあるか! っていうか、下僕⁉ 王様ゲームで王様以外の人ってそんな呼ばれ方したっけ⁉ あと、王様じゃなくて女王様になってるんだけど!」
すると赤槻は文字通り豹変する。
靴下を脱ぐと、その靴下をムチ代わりにして、俺の頬をパチンと叩いた。
そして鼻に届く、赤槻の靴下の臭い。うわっ、クサっ!
「下僕が口答えするんじゃないわよ! 返事は『ブヒン』のみ!」
「ブヒン!」
俺の卑しい鳴き声を聞いて、赤槻は恍惚とした表情で舌をじゅるりと舐め回す。
あっ、やべえ。スイッチ、入っちゃったよ。
ドSのスイッチがよお!
そして、俺の心も燃え上がり始めてしまう。
こっちもスイッチが入ったみたいだ。ドMのスイッチがよお!
「ねえ、何してほしいの?」
「また足で押し付けてください! ぶひっ!」
ヤバい……。口が勝手に動きやがる……。
「うつ伏せになって頬を上向きにしなさい」
「ぶひっ!」
女王様に言われた通りの態勢になると、女王様は慣れた手つきならぬ、慣れた足つきで俺の頬を足でぐりぐりと踏みつぶす。
「どう⁉」
「気持ちいいです」
「相変わらずヘンタイね! ヘンタイ!」
「ヘンタイって言われるの、気持ちいい!」
「キモッ! ヘンタイ!」
「ああ、もっと気持ちよくなっちゃうううううう‼」
発狂するほど気持ちいい。
罵倒されればされるほど、興奮してしまう狂った性癖をどうにかしてくれ。
「仰向けになりなさい」
「ぶひ」
言われた通り、仰向けになり俺の卑しい顔面が白日のもと晒される。
おっ、新しいプレイか? ついに、プレイとか言っちゃったよ。
「うぐあっ!」
すると赤槻は自分の靴下を俺の鼻に押し付けた。
刺激的な匂いが鼻に充満する。
臭いけど……なんだ、この感情は⁉
臭いのに……。
「どう?」
「……も、もっと嗅がせてぇ」
「ヘンタイ!」
「はんぎゃっ!」
臭い靴下を欲してしまう俺の変態性は、常軌を逸し始めた。
更に鞭に見立てた靴下、通称『臭鞭』が俺の身体の至る部分を叩きつける。
そして、一線を越えるように、『臭鞭』は俺の股間周りをビシビシと痛めつけている。
「ああああぬうううう‼‼」
「感じてんじゃないわよ! 気持ち悪い!」
「俺の股間に女王様の靴下をくっつけたいですぅ」
「キモい! キモい! キモい! キモい!」
そう言いながら、『臭鞭』が股間を集中砲火してくる。
この女、完全に変態紳士に心得を理解してやがる……!
赤槻のポテンシャルに恐れおののいていると、俺の身体にある異変が生じ始める。
股間周りを痛めつけたせいか、悲鳴を上げるように、ムクムクと膨れ上がっている。
ヤバいヤバいヤバいヤバい……!
理性で必死に押さえつけようとするが、理性が押さえつけようとすればするほど、反比例するように本能が暴発する。
そして赤槻の視線が俺の膨張した股間と合ってしまう。
最悪だ……。
同級生の女の子にこんな醜態を見られるなんて……。
「貴方、もしかして勃っているのかしら?」
「ぶひ」
言語を取られた俺は、哀愁漂う『ぶひ』しか言うことが出来ない。
「ガチでキモいの……よ!」
「ひぎゃああああああああああ‼‼」
膨張した股間に赤槻は自身の足でダイレクトアタックをかました。
過去最高の痛みと快感が同時に襲ってきた。
だが、流石に痛すぎるので、徐々に萎え始める。
……一級変態紳士への道はまだまだ遠いな。
その様子を見て赤槻も萎え始めたようで、同時に賢者モードが訪れる。
「……はあ……はあ」
「吐息、気持ち悪っ」
「ありがとうございやす」
「……ねえ、このことは絶対内緒ね」
「勿論。こんなヘンタイゲーム、誰にも言えねえよ」
赤槻が何事もなくいつもの席に戻ろうとした時、小さくつぶやいた。
「また二人の時、やりましょ?」
「……ぶひ」




