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第41話 新メンバーが増えると、部活に新しい風が吹く

 新たなる仲間、中二病少女・比屋根日和を加え、新たなる門出を迎えた《アオハル部》。

 さて、本日も頑張って部活動に励むか。


「《我が業火滅却の焔の前に灰燼と化せ【業火滅却フレイムアビス】》‼」

「いっだああ! こら比屋根、部室で暴れるな!」


 部室にて。


 比屋根は相変わらずの黒マントと三角帽子というヘンテコな格好で詠唱みたいなもの大声で唱え、ステッキを振り回すと、俺の身体に激突する。

 ここは保育園なのかよ。


 部室に来て早々、身体を痛めつけられ、ムスッとした俺は、ふて寝するために背を畳に預けた。

 しかし、後頭部から感じたのは畳の感触ではなく、むにゅっとした感覚だった。


 あれ、この部屋に枕なんてあったっけ?

 まあ、いいや。気持ち良いし。

 そのまま快眠しようとした矢先、なぜかその枕がもぞもぞと動き出した。


「青山クン。ゲームの画面が見えないからどきたまえ」

「はにゃっ⁉」


 身体を寝かせたまま首を九十度傾けると、そこにはなぜか笛吹の顔があった。


 ……ということは。

 俺はゆっくりと頭を今度は百八十度回す。枕だと思っていた後頭部が置いてあった箇所に目を合わせる。


 そこには……。


「おっぱい⁉」


 笛吹のたわたな双丘が顔を埋め尽くす。

 俺が枕だと思っていた、それは、笛吹の“それ”であった。


「悪い、笛吹! 今どくから!」

「うんにゃ。きりがいいから、セーブしてこの辺でやめておくよ。眠くなってきたし。睡眠はゲームのパフォーマンスを上げるために重要な行為なのさ。きみは私の胸を枕代わりにして眠りたまえ」


 ゲームに対する持論を得意げに語る笛吹は、そのまま瞼を閉じる。


 えっ……? いいの……?

 所有者に許可を貰った俺は、笛吹製の極上枕に頭を預けた。

 柔らかくてフワフワ。これもう、どんな枕よりも上質だろ。


 相変わらず赤槻は窓際の特等席で教科書とノートを広げ勉強に励んでいる。

 比屋根は俺の注意を受けてなのか、はたまたただ飽きただけなのか、読書をしている。

 そんな感じでまどろんでいると、部室の扉が開いた。


「ここが、《アオハル部》の部室で間違いないだろうか?」


 物腰柔らかな口調。この時点で顧問の二部崎先生ではない。

 だとすると、《アオハル救助隊》に依頼してきた生徒だろう。


「あなたは……」


 身体を起こすと、そこには見覚えのある女子生徒が居た。

 女子野球部のエースであり、生徒会の副会長も務める、文武両道ポニテ美少女・高橋空先輩だ。

 彼女とは、以前女子野球部の助っ人で面識がある。


「何やつ!」


 比屋根は見知らぬ来客に、警戒感を示すようにステッキを首元に突き付けている。

 おい、何してんだ! 生徒会副会長に、そんなことやるなんて不敬だぞ!

 咄嗟に比屋根の首根っこを掴み、後ろに引っ込めさせる。


「すんませんね、こいつ新入部員なんすよ。ご無沙汰です、高橋先輩」

「うん? 君は誰だ?」


 え? もしかして覚えられていない?

 一緒に練習試合をした仲じゃないですか!


「やだなあ、先輩。アオハル部部長の青山春海ですよ。一緒に試合した仲じゃないっすか」

「あれ? 青山春海は女子ではなかったか? というか、試合には女子しか出られないし」


 あんぎゃあああああ! そうだったあああああああ!


 そんな小細工をしていたことをすっかり失念していた。

 そういえば、事情を知るのは依頼主の大島先輩だけで、高橋先輩は知らないんだった。


「実はですね……かくかくしかじか」


 俺が正直に事情を話すと、高橋先輩は明朗快活に笑い始めた。


「アッハッハ。さすがは大島だ。彼女はいつも私の予想を超えてくる。まさに青天の霹靂だな」

「隠してすみませんでした」

「終わり良ければ総て良し。結果的に大成功したのだからいいではないか。改めて、助っ人の件は例を言わせていただく。ありがとう」


 高橋先輩はペコリと頭を下げる。

 なんて清々しくて真っすぐな人間性だろうか。生徒会副会長にふさわしい人柄だ。


「それで今回は? また女子野球の助っ人ですか? だったら、任せてください。以前に比べて部員も増えましたし、俺が女装する必要もなくなりましたんで!」

「いや、今回は女子野球部としてではなく生徒会副会長としての頼みだ」

「あっ、そっちですか」


 生徒会も兼任しているから、そっちのパターンだって十分あり得る話である。

 しかし生徒会からの依頼か。公的な感じがする分、非公式感満載の俺たちがこなせるか不安になってくる。

 とはいえ、生徒会が俺たちに頼ってくれるなんてありがたい話だ。《アオハル部》が学校に認められているようで嬉しい。


「引き受けてくれるか?」

「勿論ですよ、先輩の頼みとあったら、どこからでも飛んでいきますよ」

「助かる。ではついてきてくれ」


 俺たち《アオハル部》部員は、高橋先輩についていった。

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