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コールセンターの中の人  作者: ムラタ ジュン
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序章:すべての始まり

挿絵(By みてみん)


四畳半の暗い一部屋、PCデスクとゲーミングチェアで部屋の3分の1が埋め尽くされ、PCデスクの上には、どっしりとしたPCモニターが2台置いてある。


これだけ聞くと引きこもりの部屋と思うかもしれないが、現実は違った。

いやなんなら引きこもりであってほしかった、そっちの方が楽なんじゃないかと思うからだ。


だが引きこもりは引きこもりで、足が竦み外に出るのが怖く、周囲の視線が異様に気になり自分の存在意義を問われる事をオレは知っている。

この世は理不尽だと思った。頑張っても辛いし、頑張らなくて逃げても辛い。


プルルゥルルゥ!プルルゥルルゥ!!

あっ始まった。


『お電話ありがとうございます。池口オンライン商事の村田と申します。本日はいかがされましたでしょうか。』


『昨日注文した商品が届かないんだけど!今日までに必要だったのにどう責任を取ってくれるんですか!』


『さようでございますね、大変失礼いたしました。アカウントをお調べいたしますので、アカウントにご登録のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか。』


『いせきじゅんいち!』


『いせき様ですね、かしこまりました。ご注文をお調べいたします、こちらのローションでお間違いないでしょうか。』


『そうだよ!』


『かしこまりました、えぇ、ただいまお調べしたところ21:00頃に配達店に到着したようなのですが、それから動きがないようでして、誠に恐れ入りますが本日中の配達は難しい状況かと存じます。

ご不便をおかけいたしますが、明日以降、配送業者に直接配送につきましてはご相談していただき、今回お届けが遅れた事に関してなんですが、もしよろしければお詫びクーポンを差し上げますので、こちらでよろしいでしょうか。』


『あぁ、わかった。はい。』


『ありがとうございます。そうしましたら、その他ご不明な点等はございますでしょうか。』


『いえ、大丈夫です。』

はぁ、疲れた。今回はまだマシな方だったが、こんなのが後4年と6ヵ月も続くと思うと地獄でしかなかった。ここはまるで牢獄だ、それもただの牢獄ではなく毎日罵詈雑言を浴びせられる牢獄だ。


いったいいつになったらオレは報われるんだ、どうしてこうなった。

そう、すべての始まりは新卒で入社した会社を半年で辞め、行く当てに困っていたオレはネットの求人で、在宅勤務でカスタマーサービスが行えるという広告に目が留まり、後先ろくに考えず応募していた。


そして無事現状の牢獄生活が出来上がったわけだ。

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