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第一回:高校生の恋愛事情

雨が降りしきる頃の事だった。

「せーのっ、皆さーん、こんにちは〜」

ほんの小さな掛け声の後に、声変わりの終わったであろう低い男の声と元気の溢れている女の声が重なった挨拶がスピーカーを通して校内に鳴り響いた。

その男の名は、天野天あまのそら晴雲高校せいうんこうこうに通う二年生である。勉強ができるわけでも運動ができるわけでもない声がかっこいいという一点を除いて平凡な男だ。

そんな彼と共に、放送しているのは、夜守花やもりはな。同じく晴曇高校に通う一年生だ。学年一位の学力に中学時代はテニスの県大会で優勝するほどの運動神経を持つ彼女は、誰がどう見ても完璧な美少女である。

そんな二人が、いやその二人だけが所属するのは、『ラジオ同好会』、東京中を探しても晴雲高校にしかない天が一年の時に作った同好会である。ラジオ同好会では、放課後に話す内容などの打ち合わせをし、翌日の昼休みに全校に向けて放送する。言ってしまえば、男子生徒と女子生徒が楽しく会話しているのを全校生徒及び教師に見せつけるといった活動である。

二人は、今日も同好会活動に励んでいた。

「本日のトークテーマは〜、高校生の恋愛事情〜〜!!イェーイ!ちなみに天先輩って彼女いるんですか。」

「唐突だな。まぁ当然…いませんけどぉ!」

「クスっ」

「あっ、今笑いおったなぁ!じゃあ夜守はいんのかよ。」

「もちろんいませーん。…でも好きな人はいますよ。」

「(またやってくれたな、打ち合わせてないこと。だがまぁいい。対応してやるぜ!)」

「その人は、どんな人なんだ?」

「かっこいい…人です。」

「俺みたいに?(どうだこの面白くて返しづらい返しは。お前から仕掛けたんだから恨むなよ。)」

「そう…ですね。」

「うっわ、雨宮引かれてやんの。」と、リスナー(全校生徒及び教師)は思っただろう。だが、それは違う。

正しくは、「うっわ夜守惹かれてやんの、、、俺に。」である。

リスナー達は知らない。この時、夜守の頬が真っ赤だったことを。

夜守は知らない。俺が好きだとバレていることを。

俺は知らない。俺のどこに夜守は惹かれたのかを。

これは、俺のことが好きな後輩とその事を知っている俺とそれを見守るリスナー達の物語である。



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