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過ぎ去りし時

作者:永島大二朗
 ドサ回りの歌手を横目に通り過ぎたのは、音楽一族の高校生『増田雄大』だった。雄大はマネージャーの『安田正樹』に呼び止められ、歌手『高田友香里』の感想を求められる。しかし音楽に厳しい雄大は、絶対音感に照らして音痴の烙印を押す。
 公園の隣にあるアパートに引っ越してきた雄大は、そこで偶然にも友香里と再会するが、その時はお互いに初対面だと思っている。それ程記憶に残る女ではなかったし、雄大にとって今重要なのはピアノだった。
 そのアパートは、芸大生が心置きなく音楽に打ち込むことが出来る所だったのだ。一族全員が芸大卒の雄大は、高校生でありながらそこでピアノの練習に打ち込むはずだった。
 隣の部屋に住む友香里は、芸大生の姉『有加里』の遺志を継ぐ高校生の歌手だった。彼女もまた『声楽』で音楽を愛する、アパートの住人だったのだ。
 友香里は音痴の烙印を押されたことを少しだけ根に持ち、雄大に作詞作曲の勝負を持ち込む。雄大は相手が誰だろうと絶対の自信を持っていたが、作詞だけは苦手だった。雄大はピアノも弾けない音痴の歌手である友香里を相手にしていなかったが、その作詞ノートを見て、友香里を音楽の同志と認める。
 その後二人はお互いの音楽をより高める為の努力をする一方、その方向性の違いにも気が付き始める。心を寄せる二人だったが、決定的な違いに友香里は怒り、半狂乱で雄大を叱責する。雄大も良かれと思ってしたことを完全に否定されて激怒する。
 それでも人間として、隣人として、音楽を愛する者として友香里は雄大の芸大合格を願う。雄大は自信を持って友香里に答える。必ず合格して帰って来ると。友香里はその言葉を信じ、窓辺で作詞をしながら帰りを待っている。
 雄大が見た掲示板に、受験番号は載っていなかった。雄大が力を落としている所に、師匠『斉藤秀雄』が笑いながらやって来る。そこで雄大が指示されたことは、ウィーンへの留学だった。雄大はその場で現金を渡されて、ウィーンへ旅立つ。その後姿を、斉藤は薄笑いを浮かべて見送っていた。
 一方アパートで雄大の帰りを待っていた友香里は、午後の日差しを浴びて居眠りをする。その間に雄大の部屋からピアノが運ばれて行くが、気が付かない。
 友香里の手から『幸運の赤い鉛筆』が、ゆっくりと落ちて行った。
プロローグ
2022/09/18 19:00
音痴の歌手
2022/09/19 20:00
判る人達
2022/09/20 19:00
お前は誰だ
2022/09/21 17:00
同士よ
2022/09/22 15:00
駆け引き
2022/09/23 13:00
時計は回る
2022/09/24 11:00
もう一人の妹
2022/09/25 09:00
赤と青
2022/09/26 07:00
夢と希望
2022/09/28 03:00
本性
2022/09/29 01:00
通過点に臨む
2022/09/30 11:00
越えられない壁
2022/10/01 11:00
失われたCD
2022/10/02 11:00
本意
2022/10/04 11:00
エピローグ
2022/10/05 11:00
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