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弟を追って転生しました  作者: ロベルト田中
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ノースの日常①

ロベルト田中です。

3話くらいまでのほほんとした日常が続く予定です。

予定なので変わるかもしれません。

2話を楽しんでいただければと思います。

どうぞ宜しく。

ここに来てから2年が経つ。

家の中では次期当主の座は誰のものになるのかという話題で持ちきりだ。


当主候補は2人いる。


イースに子ができなかったことで、分家から贈られた子である「ゼラ・ジオグラヴィド」

そして、領主直々に贈られた三つ子の「ノース・ジオグラヴィド」


当時7歳だったゼラは、時期当主だと発表する「成人の義」を控えていた。

しかし、領主から俺が贈られてきたせいで再考する事になり、家内にはゼラ派とノース派という派閥ができてしまった。


別に当主になることが目的はないが、チャンスがあるのだから、ならない手はないだろう。


なれなければ、独立してこの地を治めればいいだけだ。


因みに、ルーアとユーナは三つ子だとバレないように、ルーアは代々ジオグラヴィド家に仕える家に。

ユーナはイースの妻、ヒアナの実家に預けられている。

行く行くはジオグラヴィド家に戻され、ここで働くこととなる。


メイドは付きっ切りで俺のそばにいるが、多忙な両親はたまに来る程度だ。


当然、生まれた瞬間から鍛錬は怠っていない。

魔力制御や魔力操作はもちろん、ジオグラヴィド家が得意としている重力支配も習得した。

天界のころは陽の性質(魔法というより"気"に近い)で戦うことを好んでいたが、今回の人生では魔法をメインに鍛えることにした。

そんなことを考えていると、部屋のドアをノックしようとする気配を感じた。


「入りますよ。」

メイドのミアだ。

俺がどうぞと言うと黒髪が綺麗な女性が部屋に入る。


ここに来てから女性が部屋に入ることが多くなり、俺の心が妙な気持ちになることが増えた。

天界では家族以外城にいなかったし、身の回りのことも魔法で全てできた。


この気持ちは何だろう。2年間もやもやしてきたこの気持ちに今日終止符を打とう。


「ミア。ちょっといいかな?」

まずは触れてみよう。

どうしたの?といいだけな顔をしてくるので、ミアを椅子に座らせて、自分から膝に飛び乗る。

「ひぁ!どうされましたか!?」

ミアは言う。

「いや、別に、、、」

なんだろう。膝に座ったはいいものの、急に俺の顔が赤く染まってくる。

身体のすべてを鍛えてきたこの俺に、制御不能な事象が起こるとは。

ここから何をしたらいいか考えながら、ミアのことを見つめていると、

「ノース様。えーと、、恥ずかしいです。」

恥ずかしい?よく見るとミアの顔が真っ赤に染まっていることに気付く。

その瞬間。俺は全てを理解した。


これは恥ずかしいという気持ちだったのか。

されたこともない身の回りのお世話。

見知らぬ綺麗な女性が自室に来るという今までにない経験。

他にも何かあるだろうが、そんな感じでこの感情が芽生えたのだろう。


俺は、ミアのほっぺたにキスをして膝から飛び降りた。

ミアは、へ?と困惑しているようだったが、特段気にすることはないだろう。


俺は日々の日課に励むため、1歳の誕生日にねだって建設してもらった専用訓練場に移動した。

体力向上はもちろん、自分の中の魔力を感知制御、身体制御などの鍛練を行う。

それに、今回は魔法をメインとするため、魔力量の鍛錬は欠かせない。

手っ取り早い方法は、自分の魔力量を枯渇させることだ。

普通の者がこの方法で魔力量を上げようとすると発熱したりするが、

日々瞑想や身体制御の鍛錬を重ねている俺にとっては苦ではない。


天界時代に使っていた魔法は魔力を多く消費してしまうため、現時点では使い物にならない。

重力支配をメインとして、炎、水、雷、地の性質も一通りマスターした。

ここでの生活で知ったことだが、普通は1~2個の性質を覚えることが一般的らしい。

戦いの最中にイメージの違う性質を用いることが難しいからだろう。


基本的な性質として、炎・水・雷・地があり、そこから派生して重力系だったり氷雪系等に枝分かれしている。

派生した性質はイメージが難しく、生涯使えないまま人生を終える者も多い。

ただ、それも当主候補未満のものがほとんどだから、俺が争うであろうゼラだったり、他家の当主は使ってくることだろう。


家系によって、得意とする性質はあるが、基本はどの属性も扱えるし、鍛錬することによって同等以上にすることも可能だ。

俺は重力支配を気に入ったし、他性質との相性も抜群なので、極めることにした。


「ノース様。朝食のお時間です。」

ミアとは別のメイドである、少し茶髪で巻き髪ロングのルウがやってきたので、鍛錬を切り上げる。

「ノース様はまだ2歳なのに自立してますね。」

ミアが身長の低い俺を見ながら話しかけてくる。


「男なんだから当たり前だ。」

少し目線をずらして俺は言う。


「もう少し甘えてもいいのですよ。私の生涯はノース様に捧げているのですから。」

2歳の俺にそんなことを言うのかと思ったものの、正直嬉しかった。

急に人肌が恋しくなり、ミアに向かって万歳をし、俗にいう抱っこのポーズをして見せた。


「っ!ノース様!生まれてこの方抱っこなどさせて貰えませんでしたのに!よろしいのですか!?」


「俺がしてほしいからこうするんだ。はやくしろ。」

恥ずかしい気分になり、抱っこを急かす。

ルウはえー、とかでもぉ、と、もじもじして一向に抱っこをする気配がない。

万歳をして待っている俺の気にもなってほしい。

この態勢のまま待つことに恥ずかしさを感じたため、俺はルウの足に抱き着くことにした。


「ノース様!!!そんなところに抱き着かれてはいけません!」

ルウは慌てて離そうとするが、絶対に離れてなるものかとばかりに密着する。

「なんだ?俺を抱っこする気にはなれないんだろ?」


「いえ!そんなことはないのですが!むしろ2年間ずっと抱っこしたかったです!

と、とにかく足からはなれてくださいー!」

そんなに足にくっつかれたくないのか。

「そんなところ汚いですぅ。変な匂いとかしないですかぁ...

?」

ほう。この純白な白い足から汚れや変な匂いがするとは思えないが。そこまで言うのなら何かしらあるのだろう。

その正体、俺が解き明かしてみせよう。


「んっ!なんでそんなにお顔を近づけるんですか!?いやっ!そんなとこだめですぅ!」

俺がルウの至るところに顔を移動させながら嗅ぎまわっていると、俺の脇をつかみだっこしてきた。


「女の子の色んな所を嗅ぎ回る悪いノース様は何処ですか!」

正体を明かそうとしていただけだが、ルウにとっては恥ずかしいことだったらしい。そんな彼女を見て今まで感じたこともない気分になる。鼓動が早くなっていくことを感じた。

ほう。この女。俺の身体制御を越えてくるか。


「やっと、だっこしたか。俺は嬉しいよ。ルウの初めてを貰えたんだからな。」

ルウが今まで子供をだっこしたがっていたのは知っていたし、自分の欲を出さない彼女がだっこ未経験とのことも知っていた。


「は、初めてじゃないです!!!何回もだっこしたことありますー!」

ばればれの嘘を言うルウに少し意地悪をしたくなる。


「そうか。俺が初めてではなかったのか。母さん達にだっこして貰っている時にもじもじしながら見ていたからな。てっきり未経験なんだと思ってたよ。」

意地悪の仕方なんて分からなかったから、ちゃんとできたかは知らないが、精一杯頑張ってみた。

ついでにしゅんっと、寂しそうな顔もやってみた。


「うっ!そんなこと、ない、です、、、」

ぶんぶんと首を振りながら否定してくる。

「そんなにたくさんだっこしてきているんだったら、もういいかな。

他の子をだっこしてあげなよ。」

俺は僅かに今までと違う感情を抱いていることに気付く。


「嘘です。他の子なんてだっこしたことありません。

私はノース様のものです。ノース様以外の子を抱くなんて有り得ません!ノース様は私なんて必要ありませんか?」

目をうるうるさせながら見つめてくる。

意地悪しすぎたか。上手く出来るかどうか微妙だったが、効果覿面だったようだ。


「冗談だよ。ルウが俺のことを大切に思ってくれて嬉しい。今後は、遠慮せずにしたいことをいってくれ。」

はい!とにこにこしながら返事をしながら、俺の頭をよしよしと撫でる。


「つきましたよ。既に朝食の準備できております。本日はヒアナ様がおられます。」

部屋に入ると母さんが椅子に座っていた。

「お母さんと呼んでと言っているでしょう!」

母さんはずっと子ができなかったため、少々めんどくさいことになっている。


「私ごときがヒアナ様のことを間違ってもお母さんだなんて御呼びできません!」

わたわたと焦るルウを横目に助け船をだしてやる。

「母さん。ルウはこの家に使えているメイドだよ。お母さんなんて呼べるわけないだろ?せめて奥さまとかお母様じゃないかな?」

代替案を提示しながら助けてやる。


「ノース!ママとお呼びと言っているでしょ!まったく。ゼラはママと呼んでくれるのに。わかった?ママよ!マーマ!ルウ!私のことはお母様とお呼び!いいね!?これでも譲歩しているのよ!」

メイドのなかでも母さんのことをお母様と呼んでいるものはいる。

ただ、限られたメイドだけであり、母さんに認められた証となるので、気軽には呼べないようだ。

ルウは顔を真っ赤にしてもじもじしている。

「ルウ。呼んであげてよ。呼ばない限り一生続くと思うよ。それにこれは、母さんがルウのことを認めたってことだ。ルウが認められて俺はすごく嬉しいんだ。」

ルウは覚悟を決めたようだ。


「分かりました。それでは、ヒアナ様のことをお母様とお呼び致します。改めまして、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。」

膝を曲げ、頭を下げるルウを見て、まだ不満そうに母さんが言う。


「最初からそう言えばいいのよ!あと、そんなに畏まらなくていいわ。肩凝っちゃう。」

ルウの件は解決したようだ。次は俺だな。

「次はあなたよ!ノース!早くママと呼びなさい!」

ほら来た。

「分かったよ。ママ。そんなことより、折角作ってくれた朝食が冷めちゃう。早く食べよう。」

炎の魔法を応用して料理を暖める。

「あら、もうそんなこと出来るようになったのね。流石私の子だわ。」

絶妙な加減をしなければならないので、

魔法制御と魔力操作が未熟だと焦げたり燃え上がってしまう。

これが出来ると部屋を暖めたたり出来る。

更に制御すると、自分の回りだけ暖めることも出来る優れものだ。


「母さんの子なんだからこれくらい出来て当然だよ。」

朝食を食べながら俺は言う。

「魔法制御や魔力操作は基本よ。これが出来なければ魔法を扱うことなんて出来やしない。制御しきれていない魔法なんて暴れ馬みたいなもんよ。」

魔法のことになると母さんはうるさくなる。この分野に関しては、この国で母さんと並べるものはそう多くはない。

「わかってるよ。毎日鍛練を欠かしたことは無いし、きちんと理解できてる。問題ないよ。」

それならいいのよと朝食に夢中になる母さんを見ながら俺も旨そうな朝食をとる。


慌ただしい朝食を後にし、ルウと一緒に自室へ戻ることにした。


朝食で2話を終わるとは思いませんでした。

展開の早さを意識していきます。

コメント等していただけると全力疾走で喜びます。

宜しくお願いします。

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