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第2話:待ち合わせ

唯一の親友で愛犬でもあるレオンを亡くした社長令嬢のお嬢様「天乃城 麗華(あまのじょう れいか」。


レオンの死から立ち直ることができないまま学校生活を送る麗華のクラスに、突然「犬瓦いぬがわら 玲音れおん」という転校生が現れる。


犬瓦 玲音との出会いにより麗華はどのように変わっていくのか…

社長令嬢が好きすぎて犬から人間になりました。第2話ぜひお楽しみください!

「お~い!麗華さん!」


まただわ…。馴れ馴れしく私の名前を呼ぶこの男。

1週間前に転校してきた犬瓦君。


妙に馴れ馴れしい…。このような男には注意しないと。


「どうされましたか?」


「いや!どうもしてないんだけどね!麗華さんが見えたからつい呼び止めちゃった!」


「そんなことで呼び止めないでもらえますか?あなたと仲良くする義理はないので。」


「…。」


「玲音くーん!またお嬢様相手してるの?そんな愛想もない人ほっといて私たちとお話しよ~!」


彼は転校してきてすぐに人気者になった。

容姿は学校一のイケメンと言われている時東楓と同じくらいかしら?


でも私はイケメンとか全く分からない。恋愛感情も分からない。

そんなものでウキウキしてられるほど暇でもない。


今日も明日も習い事…。

レオンがいるときは苦痛ではなかったのに…。

親友を亡くしてから私は何に対しても興味がなくなった。


「ねぇ。麗華さん」


「…。」


「ねぇ!」


「…授業中ですよ。話しかけないでください。」


「…。」


ん?静かになったから反省してくれたのかと思ったら…手紙?


―――放課後エクスシティのドッグカフェで待ってます―――


犬瓦君は何を考えているのかしら。

勝手に待たれていても困る。


―――放課後は予定があるので無理です。―――


これでよしっと。

それにしても偶然かしら。私が通い詰めていたドッグカフェで待っているなんて。


正直あそこにはしばらく行きたくない。

だって、レオンと出会った場所だから。行ったら思い出してしまう…。


キーンコーンカーンコーン


今日は茶道の稽古ですわね。茶道は心が安らぐから結構好きだ。

早く門にいかなきゃ。迎えも来てるだろうし…。


「ねぇ!」


「…。」


「麗華さん!」


「…。」


「用事ってなに?僕あそこでずっとまってるから!」


「私は行きませんよ。」


「でも僕はずっと待ってる!」


「…。」


―――3時間後―――


「お客様、そろそろ閉店の時間なのですが…」


「あ、そうですよね。すみません。すぐに出ますね。」


結局、れいちゃんはドッグカフェに来てくれなかった…。

そうだよね、僕がレオンだって分かってないんだし…。


でも…でも。

僕の知ってるれいちゃんは、絶対に来てくれる!


もう少し外で待ってみよう。

僕がれいちゃんを諦めたられいちゃんはずっと1人になる。


―――1時間前―――


「麗華お嬢様!茶道のほうは終わられましたか?」


「えぇ。先ほど終わりました。それで、私この後…。」


「お父様が麗華お嬢様のことをお呼びです。このまま会社に向かいますね。」


「え…。でも…。」


「何か用事がありましたか?でも社長はお忙しい方なので時間がないんです…。」


「…そうね。会社に行きましょう。」


―――会社にて―――


「お父様、お話があると伺ったのですが…。」


「おう、麗華。やっと来てくれたか。今度会ってほしい人がいるんだ。」


「誰ですか?」


「私の会社と仲良くしてくれている会社の社長の1人息子だ。」


「え…?お会いするのは結構ですけど、何をするのですか?」


「まぁ、顔合わせのようなもんだ。それで2人の関係がいい方向に進んでくれることを私は望んでいるよ。」


でた…。お父様のこの目。

高圧的で拒否を許さない雰囲気。小さいころからこの目を見てきている。


「…わかりました。」


「話は以上だ。私は忙しいからもう家に帰りなさい。」


お父様にとって私は商売道具。

それは昔から変わらない。変わらないのに…。

レオンがいないと話を聞いてくれる親友もいない…。


レオン…


「お嬢様、このまま家に帰られますか?」


「…。エクスシティに向かってください。」


「エクスシティ…?お買い物ですか?」


「いいえ、人が待っているの。お父様には内緒にしておいてください…」


「わかりました。」


―――1時間後―――


もう4時間待った…。れいちゃんはやっぱり来てくれないか…。

そろそろ帰ろうかな…。


トボトボ歩いていると見慣れたれいちゃんがいつも乗っている車が通った。

まさか…!


「あなたまだ待ってたの?」


「いつまでも待つっていったでしょ?」


なんでこの人は…


「はぁ。で、何のお話があるの?」


「別に話はないんだけど…ただ麗華さんと会いたくて。」


なにこの人。少しでもこの人でレオンを思い出したのがバカみたい。


「そんな用事なら私は帰ります。さようなら」


「待って!麗華さん!」


「…。」


ダメか…。今の僕じゃ話相手にもならないみたいだな…。


「ごめんね、れいちゃん…」


「え?」


しまった!距離があったからつい昔の呼び方で呼んでしまった…!

気づかれたか…?


「今なにかおっしゃいましたか?」


「いや…なにも。」


「そう、ではまた明日学校で。」


よかった…。気づかれてなかった。

僕がレオンってことは隠しておきたいし…。

1人の人間として…男としてしっかり見てほしい。

第2話も最後まで読んでくださりありがとうございました!

感想があればぜひコメントよろしくお願いします。

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