始まっていた→高校生活は!?その3
もう5時だというのに、窓からさしこむ光が異常に明るい。彼女は、俺が来たことにほっとした様子だった。
───ふと、廊下から夏美の声が聞こえてきた。
「もしもし!…………そうなんです!なるべく早く来てもらえますか?」
どこに電話したのだろうか……。
それはともかく、目の前のやつが問題だ。
「えっと……。君がさっきから呼んでたのか?」
恐る恐る質問してみる。
「そう。もう一人は?」
「さぁ……?何で?」
「別に」
さっきまでと違って、頭の中にまで響くことはなかった。
「……それで、呼んでたみたいだけど…何?」
ごくりと喉をならす。
「そのうち、分かる……。」
「!?」
背筋にすっと刺激が走った。彼女のオーラは異彩を放ち、全身の震えを呼び起こした。
逃げようかとドアに目を向けた。──が、結界によりドアは開かなそうだった。窓もである。
一体何が起きるんだ!?
そして彼女は、靴の音を響かせながら、こちらに近づいてくる。
「………っ」
切なげな表情をしながら。
『ドシッ』
「……っぐっはっ」
にぶい音。彼女は、女とは思えないほどの強い蹴りを一撃、俺に炸裂させた。
経験したことのない強い蹴りに、全身が悲鳴をあげる。お腹をおさえながら床に倒れこむ。
数秒すると、視界がぼやけ始め、意識がうやむやになってきた。
「こ……い…ん…よな…」
彼女が小声で呟いた。何て言ったのかはよく聞き取れなかった。