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有能幼女が書きたくて。

週一出来てなかった…

てか、投稿予約ミスってた……



あの後、すぐに野次馬は解散したのでその時にギルドを出た。

それから向かったのは冒険者ギルドすぐ横の鍛冶屋兼武器防具販売店。

武器や防具が多く販売されており、素材を持ち込めば新しい武器や防具をオーダーメイドで作って貰えるのでとても評判らしい。

それだけでは無く、初心者用のスターターセットから、熟練者用の高レベルな武器や防具までそろっており、誰でも利用し易いので大変人気なのだ。

だが、そこで俺は苦戦していた。


「くそっ!これも入らない!これはデカすぎる!」


そこに置かれたどの防具も装備できなかったのだ。

この世界の武器や防具は多くが魔道具と呼ばれるものであり、魔道具にはスキルが付いている。そのスキルの効果としては耐熱性であったり、耐蝕性であったり、中には装備者のステータスに影響を及ぼすものまである。そして、その武器や防具に必ずと言っていいほど付いているのが、サイズ自動調整のスキル。これがあるから、装備は自動で装備者の体に合ったサイズへと変化し、装備できるようになるのだ。

だが、クスノキ―――いや、ロールの体の表面一センチはこの世界のシステムが影響を及ぼさない範囲。防具を装備したくてもそのサイズは変化せず、装備しやすいように予め大き目に作られたものや、材料費削減の為に小さめに作られたものはどれも装備できなかった。まさか、こんなところにも防護服(仮)の欠点があったとは………。


それでスキルを付与してない防具を頼んでみた結果、「あ?スキル付与をしてない防具だぁ?そんなもんただの装飾した服じゃねえか!鍛冶師の仕事じゃねえ!そこらの服屋にでも作ってもらえ!」と言われ追い出された。

この世界では鍛冶屋はスキルを付与するまでが仕事であり、途中の段階で売るのは鍛冶師のプライドに反するらしい。

で、現在は服屋に来ている。


『あら~!冒険出来るほど丈夫な可愛い服が欲しいの~?』

「いや、可愛くなくていいんだが。むしろ可愛くない方がいいんだが」

『もう!せっかく可愛い顔してるんだからオシャレしなきゃダメよ!待ってなさい!パパッと寸法測って作ってあげるから!』


まあ、ゴツイ体躯のオネエに言われてもなぁ……。

オネエ店員の仕事は手際がよく早かった。寸法を測るのに一分もかからず、すぐに服を作りに向かう。注文は幼女がしてくれていたみたいだが、念話の翻訳をしてくれなかったのでどう注文していたかは分からない。

それから待つこと数十分。結構な時間が経っていた。これなら外に他の物を買いに行ってた方がよかったかもしれない。


『できたわよ~!ほら、可愛いく出来たでしょ?このフリルとか』


いや、なんでフリルを付けたよ。てかおい幼女、お前か!お前ワザとか!その腹を抱えたような笑い方お前の仕業だろ!

とりあえずオーダーメイドで作って貰った防具風の服はその場で受け取り、他にも衣服を数枚買う。「大丈夫よ!耐久値は最低限はあるから!」とかそう言う問題じゃない。なぜフリルを付けたんだ!あとで取るけども!外すけども!


店を出た後は雑貨屋に向かう。買うのは調理用に使われるナイフ。

戦闘用のナイフはスキル付与がされていて高いのだ。調理用ならスキルは付与されていない分だけ安く買える。予備として数本買っておこう。


「えっと、ナイフ以外に何がいる?水筒とかか?」

「あんたアイテムボックス使えないんだからポーチでも買っておきなさい。あとサポート職用に大き目のリュックがいるわね。それに鍋とテントとスコップも買っておかなきゃいけないし。あとは地図を書くためのペンとか紙とか………」


と、幼女に言われた物をそれぞれ買って行く。最初に買った大き目のカバンにそれぞれを詰め、支払いをその都度済ませる。「調味料も買っておいた方がいいわね!不味い飯が食えない事もない不味い飯になるし!」と、幼女のアドバイスを聞き、塩や胡椒、少し高いが砂糖も買っておく。


「まあ、ざっとこんなとこね!これでとりあえず明日は困らないでしょ!」


その言葉で今日の内にするべき準備は締め切られた。









翌日の早朝、すでに俺達は冒険者ギルドに着いていた。

ギルドの中を覗いてみると中には少なからず冒険者がいた。夜通しで仕事をして今帰ってきた冒険者や、俺達のように今から依頼に行く冒険者だろう。

正確な時間の指定はなく、ただ朝来てくれと言われたので七時前後にギルドに来たのだが、バルロダのおっさん達はすでに来ている様で、机に座り雑談していた。


「あの一緒に座ってる三人がパーティーメンバーなのか?」

「そうらしいわね。見たとこ、バルロダが剣士、他の三人が槍に弓に魔法使いかしら」


弓を持つのが二十歳過ぎくらいの青年で、槍を持つのが血の気の多そうなお姉さん、杖を持っているのが少し幼い女の子だ。

一番年が近いのは杖を持つ女の子だろうか。大人しそうな雰囲気だから仲良くなるまでに時間はかかりそうだが…。

入り口で立ち止まっていても仕方がないのでバルロダのおっさんのところまで近づいて行く。


『おー、来たか坊主!』

「一応ロールって名前があるんだけどな」

『すまんすまん、じゃあロール!紹介するぜ。こいつが今回一緒に依頼を受けるメンバーだ!弓士のエリックと槍士のリーディア、あとはお前と同じで特別に臨時パーティーを組んでくれる事になった魔法使いのシャルルダだ』

「えっと、サポート職のロール・マイナーです。よろしくお願いします」


会釈する程度に軽く頭を下げる。それに応じて他のメンバーも『よろしくな!』とか『頼むわね!』とか声を掛けてくれる。シャルルダだけは無言だが。コミュ障なのだろうか。

その後は簡単な今回の依頼内容の説明を聞き、すぐに迷宮に向かった。


迷宮―――

この街でその単語が指すのは主にケツァルコアトル大迷宮の事である。その迷宮は、五十メートルを超える高い塔の中にあり、迷宮自体は上にではなく地下に伸びている。塔の一階にある巨大な下り階段を下りると、そこには迷宮へと続く大きな扉があるのだ。塔の上の階は上り階段が無く上る事は出来ないが、上にはそれぞれ階層があるのではないかと考えられている。そしてこの迷宮がケツァルコアトル大迷宮と呼ばれる由縁は、その迷宮に入るための門に描かれた一匹の羽毛の生えた蛇の絵である。羽毛の生えた蛇。それはケツァルコアトルと呼ばれる四度に渡り世界を創造した蛇神であり、この世界の創造主であるらしい。幼女が作ったんじゃないのな…。

余談ではあるが、三度目に作った世界が地球で、なんか共同者に裏切られたとかなんとか。悲しい蛇だ。




迷宮に到着した時にはもう昼に差し掛かりそうになっていた。

街から迷宮まで結構な距離があり、その間にも少なくない魔物との遭遇があったからだ。え、俺?もちろん戦ってませんけど。

そうやって到着した迷宮の塔には結構な人がいた。

なんでもここで魔物の素材などの買い取りなどをして貰えたりするらしい。その為のギルド職員が多数いる他に、教会から回復魔法を扱えるモノが来ているのと、後は他の冒険者だ。


「なあ、なんでこの塔の周辺に街を作らないんだ?」

『あー、それはだな。この迷宮からは時折魔物が溢れ出してくる事もあって危険なんだ。あとは、来た時に分かった様に魔物が多かっただろ?魔物は魔素の濃い空間から突然発生するからここに街を作ると家の中に魔物が発生したりしかねんからな』

「へー、そう言う理由があったのね」

「いや、幼女。お前は知っとけよ!仮にも女神だろ?」

「そんな些細な事情どうでもいいもの。女神の仕事に支障はないわ!」


塔の内部に入ると、バルロダ達はそのままギルドの職員がいる方向へと歩いていく。

ギルド職員のいる場所は、なにかの受付の様になっていた。バルロダは『依頼で来た』とだけ告げ、そのギルド職員に依頼書を提示する。


『冒険者ギルドからの探索依頼ですね。パーティーは五人ですか……はい、問題ないですね』


バルロダは結構慣れているのだろう。迷宮へ入る手続きなのか依頼の手続きなのかは分からないが、手際よく熟していた。


『よし、じゃあ確認も終わったし行くか』

『その前に来るまでに倒した魔物を売っちまおうぜバルロダ』

『ああ、そうだな。じゃあ、ロールちょっと着いて来てくれ』


弓士のエリックの提案で魔物を売却してから迷宮に潜る事になった。

別に売ってから行かなくても魔物の素材は幼女が持ってくれてるから良いんだけどな。本人曰く、空間魔法で保管しているから重さに対する疲れは無いが、魔力的疲労は少しはあるらしい。だからリュックに入る分はリュックに入れろとか我がまま言われたけど……。


「解体はした方がいいのか?」

『いや、今は早く迷宮に入った方がいいだろうからそのまま売っていいぞ。今回探索するのは新階層の探索だ。今の時間なら途中層で他の冒険者が狩りをしてるだろうから魔物も少なくて早く新階層に行けるだろうしな』

「そうなのか?分かった」


とりあえず、素材の買取所まで行って一気に空間魔法から魔物の屍を出し、積み上げて行く。

数にして十数体ほど。獣系統の魔物がほとんどだが、数体だけ昆虫系統の魔物も入っている。どれも外傷が目立つが、幼女曰く、それほど値は下がらないらしい。


「これで全部だな。鑑定してくれ」

『……空間魔法ですか。すごい魔法が使えるんですね。えっと、では今計算致しますので少々お待ちください』


買取所のギルド職員がすぐに素材を鑑定し、買い取り額を計算していく。

大体5分くらいだろうか。結構仕事が早い。


『合計で二千六百ギルでした。振り込みですか?現金でお渡ししましょうか?』

『ああ、えっと、二人が臨時パーティなんだ。五等分して三は振り込み。あとの二は現金で頼む』

『ですと、えっと……』

「千五百六十ギルが振り込みで、千四十ギルが現金払いだな」

『!?………計算がお早いんですね。さすがは空間魔法をお使えになられるだけありますね』


前世では一応高校には通っていたからこれくらいの計算大した事はないのだが、この世界ではそれほど勉学に力を入れていないのだろうか?

とりあえず、バルロダから現金で支払われて分の半分を受け取る。一人当たり五百二十ギルか。


「ロール。そのお金はその職員に預けて口座に振り込んでおいて貰いなさい!」

「俺にも口座があるのか?」

「冒険者は依頼料の支払いが口座へ直接の場合も結構あるの。だから、冒険者登録した時に自動で作られるわ」


幼女に言われた通りにギルド職員にお金を預ける。その際にギルドカードの提示を求められた。


「ギルドカード?」

「あー、冒険者登録した後になんか変なカード貰わなかった?」

「あー、あれな。たしかポーチかどっかに……あ、あったあった」


そのままギルドカードを買取所の職員に提示する。『少々お待ちください』と言われたので待つ。


「てか、今更だけどさ。その念話って音声変えられないのか?誰の言葉か分かりにくいんだが」

「変えられるわよ?でも、ちょっと面倒くさいのよねぇ」

「え?変えられんの!?じゃあ、俺の声も変えてくれよ!バルロダのおっさんもそうだけどエリックやリーディアも幼女の声で驚いてたじゃねぇか」

「いいけど、急に声変えたら変に思われるわよ?」

「まあ、そうだが……そうだよなぁ………」


今の俺は幼女の声で認識されてしまっているから今更変える訳にもいかないんだよな。

実にもどかしい。街を移動した時にでも変えてもらうか。


『振り込みが終わりました。ギルドカードを返却いたしますね』


俺はギルドカードを受け取ると、すぐに他のメンバーと合流する。バルロダは先に行って準備をしていてくれたらしく、その後はすぐに迷宮への下り階段を下りて迷宮へと入る事ができた。


「にしてもデッカイ門だな」


門の扉は高さにして五メートル強はあった。その扉に書かれた模様と言うか絵か?にはこの迷宮の名の由来となった羽毛の生えた巨大な蛇、ケツァルコアトルが描かれていた。これってこの迷宮のボスがこいつとかじゃないよな?神がラスボスとか勝てっこないぞ!?

まあ、そうはいってもラスボスと戦う事はないのだろうが。




迷宮の内部に潜って数時間。もう新階層の第十二層まで下りてきたが、まさかのここで幼女が有能だった。

サポート職の仕事の一つのマッピング。

幼女が念写のスキルを使う事で事細かく出来てしまうのだ。それもペンで書くのとはくらべものにならないスピードとクオリティ。

あれ?俺の仕事無し?






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