第九話 鼻血事件
「ストーカー?」
マキ先輩たちは、眉間にしわを寄せて言った。
「えぇ・・・確証は持てていないんですけど、そんな感じがするんです」
マキ先輩は、マイコップにマイティーを注ぎながら言った。
「そうか・・・ならば仕方が無い。24時間ユズキについて回らねば」と、マキ先輩。
「そっちの方がストーカーじゃないですか」
「いいのかー?まだアテレコ終わってないぞー」と、マキ先輩。
「・・・・・・」
私は黙って、家から持参したインスタントコーヒーを飲んだ。
放課後の放送室は、外から見ると楽しそうに見えるかもしれないが。こちとら全然楽しくない。むしろ悲しいと言いたいくらいだ。
昨日は最悪だった。藤山先輩を本気で恨んだりしたな。
酔っ払った先輩たちをたたき起こすのに何分かかったか。
「ストーカーねぇ・・・年頃の女の子の被害妄想じゃねぇの?」と、冬馬先輩。
「それも考えたんですけど・・・まぁ、確証は持てていませんし・・・」
「もしストーカーがいたら、どうするの?」と、楓先輩。
欅先輩と楓先輩除く四人は、しばらく間を置いて言った。
「殺る・・・!」
「だよねぇ〜〜〜♪」
私はコーヒーを吹き出しそうになり、むせた。
「げぇほ、げほっ、欅先輩はどうします?」
欅先輩の顔に影がかかった。
「殺る・・・!」
「だよねぇ〜〜〜♪」
やばい。鬼病は欅先輩にも感染している!
私はチョコの山(藤山先輩+科学部員作)を見た。
「それより・・・あのチョコどうするんです?」
「埋め立てるか」
マキ先輩が立ち上がった。
「それもそうだな」と、カオル先輩。
「俺も賛成〜」と、カイ先輩。
「ホラ、杏仁も行くぞ」と、冬馬先輩。
「あ、はい。」
「僕も行く〜!欅ちゃんもいこぉ〜♪」と、楓先輩。
「ぁあ、うん」と、欅先輩。
全員が放送室から出ようとすると、マキ先輩が制した。
「いかん!廊下歩行は守らんといかん!みんなー、二列になれー!」と、マキ先輩。
「マキさぁ・・・この前廊下は知ってなかったっけ」と、カオル先輩。
「私は生まれ変わったのだー」と、マキ先輩。
「知ってました?廊下歩行って、廊下で騒がないことも入ってるんですよ」
全員は、二列になりながら沈黙した。
埋め立て、終了。
「疲れましたねぇ」
「ふぅ〜、つっかれたぁ〜〜」と、楓先輩。
「何でこんなにチョコレートが・・・」と、カイ先輩。
「なんというか・・・鼻血が出そうだ」と、マキ先輩。
「だ、出すな!誰か、ティッシュ!!」と、カオル先輩。
「あ〜・・・俺も、鼻血出そう」と、冬馬先輩。
「ほい、ティッシュ」と、欅先輩。
「おぉ〜〜〜サンキュー欅〜〜〜」と、マキ先輩。
「フガッ、やばい・・・鼻血のくしゃみでそう」と、冬馬先輩。
「ギャアア!!ヤメロ!!誰か、奴のくしゃみを阻止しろぉぉ」と、カオル先輩。
「え?」
ブァックション!!
・・・・みんな、血だらけ。
冬馬先輩は、私含む六人に血祭りに上げられることになったとさ。