第三話 入部希望者、現る!
昨日も、どっと疲れた。
アニメの絵は宿題になるし、定着した杏仁も消えないし。でも、ひとつわかったことがある。欅先輩も、以外にドジだということ。
思い出したらまた笑えてきて、私は隠れ笑いをした。
朝八時三十分。
私、安藤ユズキはアニメのアイディアを考えていた。
その時だった。
「あーんどーさんっ」
「・・・はい?」
クラスの子だった。名前は未冬。未冬ちゃんだった。
「安藤さん、あなたはアニメ製作部に入ってるんだよね?」
「うん。」
「うらやましーい!ねぇ、安藤さん。頼みごとがあるんだけど。ちょっといいかな?」
「・・・・・はい?」
未冬ちゃんは目をキラキラ輝かせて、私に言った。
「あたしも、アニメ製作部に入れてくれないかなっ!」
中休み。
私は二年のA組に行った。
遊びに来たわけではない。未冬ちゃんの入部について、部長の園村マキ先輩に相談しに来たのだ。
私が姿を見せると、マキ先輩は満面の笑みで手を振った。
「よぉぉぉぉ!杏仁!」
「その呼び方、やめてください。」
二年生の人たちが、私を好奇の目で見ている。しかし、私はかまわず続けた。
「一年生から、入部希望者が出ているんですけど・・・」
「入部希望者!?それはどんなだ!?」
マキ先輩は、未冬ちゃんがしたように、目をキラキラ輝かせた。
私は、どんなだ!?とか言われても困るだけだったので、未冬ちゃんを部活メンバーたちと面接させた。
未冬ちゃんは緊張の「キ」の字も無いようで、ニコニコしながら一方的にお喋りしていた。
欅先輩はいつも以上にニコニコし、カイ先輩も冬馬先輩もカオル先輩もそして部長も、ニコニコしながらただ相槌をうっていた。楓先輩は・・・・・いつも通りに見えた。
面接終了後、部活メンバーたちは私に駆け寄ってきた。
「ダメ・・・・アイツ、没・・・」と、マキ先輩。
「同じく・・・・」と、カイ先輩。
「以下同文・・・・・・」と、冬馬先輩。
「・・・・ダメ・・・・」と、カオル先輩。
「僕も、すごく疲れたぁ」と、楓先輩。
「・・・・・・・・・・」ノーコメントは、欅先輩。
マキ先輩は私を指差して言った。
「ユズキ・・・お前、あの皮膚ゆとかいう子に言っといてくれ。入部はあきらめろ・・・と。」
「えぇえぇっ!!??」
私は素直に驚いてしまった。
「お前しか居ないだろう」と冬馬先輩。
「でも・・・・かわいそうじゃありませんか?」
欅先輩は、私に言った。
「じゃあ、その子にいってやれ。アニメ製作部の男たちは、カツラをかぶったただのハゲだと・・・!」
「え」
欅先輩以外の人が、「ヤメテーーー」という顔になった。
「そうですね、わかりました!」
私は放送室を飛び出して、未冬ちゃんのもとへ向かった。
私がカツラのことを未冬ちゃんに暴露すると、未冬ちゃんは入部を取り消した。
そして私が放送室にもどると、五人の鬼がたっていた。
私に明日は訪れるのかなぁ・・・・。