表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/21

第二話 欅の本性

 昨日は、本当に疲れた。

 アニメ製作部の人たちに変なあだ名つけられるし・・・もう、最悪。

 私、安藤ユズキは俯きながら廊下を歩いた。

 その時、放課後を告げるチャイムがなった。

 そして、私はそのチャイムと共に、マキ先輩の脅し文句を思い出した。


 「おい、ユズキ!私の父はこの学校の理事長だ!もし放課後に来なかったら、この学校に居られなくしてやるぞ!」


 追い出されるのは困る。この学校は、我が家の財産でようやく通える学校だったから。

 私は、嫌々ながらも放送室のドアを開けた。

 そこには、左から楓先輩、欅先輩、マキ先輩、カオル先輩、カイ先輩、冬馬先輩の6人がそろっていた。

 「遅いぞ!ユズキ!」と、マキ先輩。

 「はぁ・・・すみません」

 「そうだー、遅いぞ、杏仁!」と、冬馬先輩。

 「その呼び方はやめてください!!」

 私と冬馬先輩の取っ組み合いに、マキ先輩が割って入った。

 「あー、ユズキ!欅の手伝いをしてやれ。」

 「あ、はい。」

 私はパイプ椅子を欅先輩のところまで引っ張っていった。

 「あの、欅先輩。私は背景を担当していいですか?」

 「あぁ、うん。頼む」と、欅先輩。

 昨日、マキ先輩から聞かされたのだけれど。私たちが作るアニメのストーリーは、男の子のルディ(マキ先輩)が、不思議な国に迷い込んでしまって、その国に同じく迷い込んだ男の子のルーシィ(カオル先輩)と力をあわせてその国から脱出するというお話らしい。ちなみに、楓先輩は出てくるウサギで、カイ先輩は意地悪な馬、冬馬先輩は鍵を握るお姫様なんだそうだ。

 「そういえば、欅先輩はアテレコしないんですか?」

 私がそういったとき、欅先輩は手を止めて固まってしまった。

 「あのー、欅先輩?」

 欅先輩は、話そうとしない。

 そこに、楓先輩がやってきた。

 「あのねー、杏仁豆腐さん。欅ちゃんは前のアテレコでかんじゃったから、それがトラウマにー・・・・」

 楓先輩がまだ言いかけてるときに、欅先輩は楓先輩の口をふさいだ。

 「かんじゃったんですか」

 「・・・・・うん・・・・・・・」

 欅先輩の自信なさげな声に、笑ってしまった。

 欅先輩は落ち込んだのか、俯いて再び絵を描き始めた。

 でも、その顔はかすかに笑っているように見えた。


 マキはアテレコ室のガラスに張り付いて、欅とユズキを見た。

 「何か仲良くねー?あの二人・・・・」

 「そうか?」と、カオル。

 「でも、お友達だから、仲いいのはいいことだよねぇ〜。はやく打ち解けてもらいたいしねぇ」と、楓。

 その言葉に、マキの瞳が輝いた。

 「そっかぁ!お友達かぁ〜」

 「どうした?マキ」と、カイ。

 「お友達って言うことで、安心したんじゃねーの?」と、冬馬。

 マキは、スキップをしながら鼻歌を歌っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ