第十七話 ゴールデンウィーク二日目
ゴールデンウィーク含め、私とマキ先輩の同居生活の二日目。
「マキ先輩、何ですか?コレは。」
私は鼻をつまみながら、その『コレ』を指差しながら言った。
マキ先輩は私の目の前で、腰を丸めながら言う。
「・・・・・・・ハンバーグ、です」
「・・・これが?」
「・・・・・・・・・うん」
私は、先輩がハンバーグだと言った物を見つめた。
どう見ても、ハンバーグには見えない。ただの、真っ黒な炭である。
真っ黒な炭はさて置き、この状況に到るまでにはたくさん(?)な事があったのでございますよ。
さて、少し遡ります。
その日は起きるのが遅く、もうお昼近くだった。
しかしその日は珍しく寝覚めもよく、ベッドから起き上がろうとした時だった。
ドッギャーーーーーーーン!!
一回から凄まじい爆発音。
私は急いで階段を下りた。
キッチンのほうをのぞきにいくと、そこにはアフロにちかい髪型をしたマキ先輩と、『(マキ先輩の自称)ハンバーグ』があった。
そんなこんなで、現在に到る。
「・・・もう一度聞きますけど、コレが、何だって?」
「・・・ハン・・・バーグ・・・です」
自信なさ気に目をそらすマキ先輩。
私はわずかな可能性にかけて、マキ先輩の額に手を当てた。
平熱である。
「・・・マキ先輩?」
「は、はぃぃ」
私はにこやかに笑いかける。
「眼科の場所って分かります?」
「ぇ?あ・・・はい」
「いってらっしゃいな」
マキ先輩はしばらく「・・・・?」という顔をしていたが、最後には「ハイ」と言って家を出て行った。
さて、と・・・。
朝からハンバーグって言うのもなんだけど、作り直すか!
姉が帰ってくるかもしれないし・・・一応、3個作っておこう。
何度も言うけれど、昔はいい姉だったしね。
昔は。
知っての通り、私はオムレツ以外はそんなにうまくできません。
なので(「最初から使え」と思われるかも知れないが)、料理本を使うことにしました。
さてと。まずは、ひき肉だかをこうしてこうして・・・。
あ、にんじんとかを入れてみてもいいかも。
早速切ろう!
スパッ
ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
指が・・・指が・・・ヒィィィ!!
いや・・・まだだ!このくらいで私のクッキングソウルは折れないぜ!
私は傷口に絆創膏を貼ると、再びにんじんを切り始めた。
それから数分経って、無事ににんじんを切り終えることができた。
よし、そしてこのひき肉だかをにんじんと一緒に揉んで、焼くのだな!
そぅりゃ!
ひぃやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
アッツイ!アッツイ!
いや・・・まだだ!このくらいでは、食の神様ナグーレ・コローセ(殴れ・殺せ)に表彰された私のクッキングソウルは折れないぜ!
私は火傷したところに水をつけると、再びひき肉だかとにんじんを焼き終え、ハンバーグを3つ完成させた。
私がハンバーグの出来に感動しているときだった。
「ただいま〜、杏仁」
これは、マキ先輩。
別にそこまではよかった。
「ただいま〜、杏仁さん」
!?楓先輩(汗)
「腹減ったぞー、杏仁」
!!?カイ先輩(汗)(汗)
「今日の飯、なに?」
!!!?カオル先輩(汗)(汗)(汗)
「おじゃましまーす」
!!!!?冬馬先輩(汗)(汗)(汗)(汗)
「ただいま」
!!!!!?欅先輩(汗)(汗)(汗)(汗)(汗)
そして、先輩たちは私に言うのだった。
「杏仁、飯っ!」