第十四話 ゴールデンウィーク前の秘め事
4月27日、放課後の出来事。
「もうすぐでゴールデンウィークですね〜」
私は、窓際でたそがれるマキ先輩に話しかけた。
「・・・・・・」
返答はなし。
「アテレコも人通り終わりましたし・・・思う存分遊べますね〜」
「・・・・・・」
返答はなし。
私は諦めて、カイ先輩に訊いた。
「マキ先輩、どうしちゃったんですか」
「連休って聞いたとたんにあんな感じになっちゃって・・・」と、カイ先輩。
・・・居残り報告受けた小学生か、アイツは。
私は呆れて、マキ先輩を眺めた。
「マキ先輩?」
「・・・・・・・」
もちろん返答は無し。
すると、楓先輩がちょこちょこと歩いてきた。
「マキちゃんはねぇ〜、ゴールデンウィークに杏仁さんに会えないから、落ち込んでるんだよ〜」
「パベロッ!?」
マキ先輩は変な声を上げた。
「楓、何を言う!私は部員に会えなくて暇なので落ち込んでいるだけで、別にユズキに限ったわけではないぞ!」
マキ先輩は必死で弁解を続けたが、みんなに白い目で見られた。
「・・・別にいいじゃないですか、会えなくても。ゴールデンウィークが明ければ、すぐに会えるんですから。」
「・・・・・・・・・」
みんなが沈黙したときに、エセ関西弁が割り込んできた。
「何やねん、男心のわからんやっちゃなぁ〜。連休中も会っていないと気がすまないっていう男心をわかってやれや、ユズキ。」
「お姉ちゃん!?」
「なんでここにお姉ちゃんがいるのよ」
「何やねん。ワシもまだ18や。そりゃあ学校も通うっちゅうねん。」
「不法侵入じゃないの」
姉は私を無視し、マキ先輩に向き直った。
「自分の気持ちはよぅわかった。だから・・・」
さらに姉は、マキ先輩の耳元で何かを囁いた。
マキ先輩はしばらく目をぱちくりさせていたが、姉に向かってうなずいた。
「もう、お姉ちゃん。先輩に変なこと吹き込まないでよ?」
「変なことやあらへんでー。まぁ、そのうちわかるから楽しみにしとき!」と、姉。
「な、何なに〜?マキちゃん、教えて〜」と、楓先輩。
「・・・・?」
ゴールデンウィークが来ても、姉とマキ先輩の秘め事はよくわからなかった。
もうすぐで、ゴールデンウィークがやってくる。