乙女ゲームに転生しました!まさか私が王道パターンの悪役だなんてっ!!2
はい、話の続きですよ?
まだまだ、続きますからね?
今回も、前世の口調が出てくるかもしれないので、気を付けてくださいませ!
前回、攻略対象者との婚約話で話が終わりました。
だけど、そこで終わってしまえば、物語が始まらないと思うので続けさせてくださいませね?
この乙女ゲームなのですが、キャッチコピーは“基本こそ全て!王道よ、ふたたび!!”なのです。
つまり、攻略対象者もヒロインも悪役も“王道”です。
俗に言う“シンデレラストーリー”と言うやつですか?
そんなゲームでした。
内容は、資産家の令息令嬢が通う学校に入学してくる主人公が、攻略対象者と出会い恋に落ちていく。
それを邪魔する令嬢達。
後は、ありきたりな設定です。まあ、これは“ありきたり”が売りのゲームなので。
ありきたりな分、声優さんやグラフィックが豪華でしたし、CGとか、イベントとか、容量が半端なくありましたけどね。
ディスク四枚組でした。
“ありきたり”を詰め込みすぎだよ!と言いたくなるぐらいの詰め込みよう。
期間は、普通、一年ぐらいじゃないの?とか思うのですが、このゲームは三年間でした。
高校一年生の入学式から始まるのです。
え?先輩とかですか?
いないです。因みに、先生とかもいないですよ?
同級生オンリーです。
対象者は、5人。
俺様生徒会長、腹黒副会長、チャラ男会計、無口な書記、クールな風紀委員長の5人です。
本格的な攻略は、彼らがこの役職についてから始まります。
それまでは、淡い恋心とか気になる存在とかの関係になるんですかね?
上手くやれば、彼らが役職に付く前に恋人同志になれるかもしれませんが…。どうでしょうか?
確か、ゲームでは、役職に付いたヒーローが忙しくなって会えなくなって…とかで、気になる存在になるとか…だったような…?
そこで、ヒロインが生徒会とかを手伝い仲を深めていく…そんなゲームだったような気がします。
あまりにも王道過ぎて、物凄くイベントがあり過ぎて覚えきれていません。ごめんなさい……。
まあ、良いですよ。その内に思い出すかも知れませんから!
気にしない、気にしないですよ!
今、気にする事は、目の前の事。
今、私の目の前に、いる人。
将来の“俺様生徒会長”様がいるのです!
なんでいるの!?そう聞きたいのですが、父親から来客が来ると聞いていたので…聞くのも墓穴を掘りそうです。
「薔子。今度、家に来ないか?」
はい?何故?
「え?」
一瞬、間抜け面をしてしまいましたわ。
だって、話の前後に何の繋がりもなかったのですもの!
「母親が会いたがってる」
何故?
「俺の婚約者に会いたいらしい。まあ、それは建前だと思う。母親同士、仲が良いからな。会う口実にしたいんだろ」
…成る程。こんなところでも“王道”がくるのですね!
父親だけでなく、母親同士も仲が良いとは!流石ですわ!
「では、親の都合の良い日に伺いますわ」
にっこり笑って答えますが、内心、嫌だなぁって思うんですよね…。
この婚約も、本当に“王道”で、これだけ見れば、少女漫画の王道ストーリーですもの。
本当に“王道”に拘りすぎですわ!嫌いじゃないですけどね!!寧ろ、大好きです!!
ただ、実際に自分がやるとなると砂吐きそうですけど…。
それにしても、五歳児の言葉遣いとは思えないぐらいの話し方ですね…。もしかして、貴方も転生者ですかと聞きたくなります。
流石、攻略対象者様!末恐ろしいですわ…。
「小学校は、勿論『虹ノ宮学園』だよな?」
その、他は許さないと言うニュアンスで聞いてくるの止めてくれませんか?恐いのですけど…。
「ええ。お父様が決めましたの」
と言うか、他の学校に行けるわけないのですよ。セキュリティがしっかりしていない学校に資産家の子供が行けると思いますか?
行ったら『誘拐して』って言っているようなものですわ。
それに、他の生徒の迷惑になりますしね。
資産家の子供がいると、周囲に変な人が現れる確率が高いですから…。教師やPTAの方々に迷惑をお掛けするわけにはいけませんもの。
ですから、行ける学校なんて多くないのです。
「そうか。それなら良い。来年の春から、一緒に通おう」
かなり、気が早くないでしょうか?
うん。良い笑顔で言うの止めてくださいませ。逆らえない空気も止めて!
「一緒に…ですか?無理だと思うのですが…」
いや、無理ですよね?
「迎えに行く」
いやいやいや!無理ですから!!
何、当たり前だろ…みたいな顔してるんですか!現実問題、無理がある!
「いえ、態々回り道して迎えに来てもらうのも…」
貴方は、学園から近いけど、私は、遠いから!
どうせ、家の車で行くのだから結構ですよ!
「気にするな」
するから!滅茶苦茶しますから!!
だから、胸をはって言う事ではないですからね!?
「そうだ。クラスも同じにしてもらうよう頼もう。その方が安心だからな」
誰に!?誰が!?
それは、誰にしてもらうのですか!?
誰が“安心”するのですか!?私は、しませんよ?わかってます!?
なに!?“俺様”なのって、この頃からなの!?
「それは、駄目だよ?クラス分けは、ドキドキの醍醐味だからね!」
はい?醍醐味って、なんですか!?
「父上。会話に割り込まないでくれませんか?」
あれ?いつの間に…。
よく考えてみれば、口調も声の高さも違いますね。
……それと、いつ、入ってきたのですか、お父様におじさま…。
「ノックはしたんだよ?でも、返事が無かったから」
で、勝手に入ってきたわけですか?いえ、良いのですけどね。この人がいる時だけは。
私だけの時は、勝手に入るのは禁止ですわよ!
「そろそろ、お暇するよ?帰るのが遅くなるからね」
あら?もう、夕方?
二人が昼過ぎに来て、私が彼の相手を約3時間もしてたのか…。偉いぞ、私!
「ほらほら。そんな顔しないの!また来れば良いじゃないか!」
来ないでください!
貴方も、納得しない!
さっきまで、不満たらたらみたいな顔してたのに!
…いや、違う。そこは、帰宅が嬉しいと言う顔をしてください!なんか、嫌です!
「そうですね。では、お邪魔しました。薔子、また明日来る」
だから、来ないでくださいってば!
そんな私の儚い願いも虚しく、彼は、毎日のように我が家に通われるようになりましたとさ…。
…泣いても、良いですよね?