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2016/12/27、誤字修正。
「ふぁぁ……ねむ……」
半ば寝不足の俺は二日酔いのおっさんみたいな歩き方で学校へと向かう。
なんだかんだで昨日は寝れなかった。いや、寝かせてくれなかった、と言った方がいいだろうか。
まぁ、何にせよそのせいで寝不足なんだからたまったもんじゃない。でも、もうアイツも帰ってくれそうにないしなぁ、はぁ……、めんどくせぇ。
ことの発端は昨日の夜ことである。
◆◆◆◆
「おにーちゃん!」
そうやって怒鳴り込んできたのは我がマイシスターであり憎むべき相手、潤である。
死んだような瞳をそちらに向ける。
「ごめんくださいまし」
美少女KI・TA・KO・RE。って金髪ロールだし、どっかでみたことあるよーな…………。
「平民ごときが私を見つめないでくださいまし」
あ、思い出した。めんどくさいやつだ。転校初日に潤にベッタリだったヤツ。
「カエレ」
「えー、ひどい」
ぶー、と口をふくらませる潤に同調するように金髪ロールも口を開く。
「地味顔ごときが潤様に口出しするなど100年早いですわよ」
あぁ?いま地味顔つったろ。人の気にしてることズカズカ言いやがって。ぜってー、家に入れさせたくないんだけど。
てか何なの?気持ち悪い話し方しやがって、貴族じゃあるまいし。
って思ってたら。
「この子の名前は北上アリスさんだよ。北上重工のお嬢さんなんだよ」
「無礼な態度申し訳ございませんでした。どうぞ煮るなり焼くなり好きにしてください」
まさかスライディング土下座をやる日が来るとは思いもしなかった。てか、モノホンのおえらいさんじゃないか。それならそうと早く行ってくれればよかったのにぃ〜(ゲス顔)
「キモッ」
だろうな。自分でも薄々思ってたよ。しかし面と向かって真顔で言われると……なんか……来るものがあるよね。
……いや、Mとかじゃないから。そんなこと断じてないから。ちょっと悲しくなっただけだし、興奮なんてして……ねぇし。
「で、何の用だよ」
「今日1日泊めてよ!」
「断る」
コンマ一秒の世界に到達した俺の拒否スキルは今日も健在みたいだ。
「地味顔のくせに肝まで小さいとは見下げましたわ」
「そーだ。そーだ!」
アリスにディスられつつ同調した潤に後で覚えとけ、とアイコンタクトを送る。潤もそれに気づいたらしい。履いているジーンズの股間辺りからジンワリと…………吐くぞコノヤロー。
「地味顔なのはしょうがないし、肝が小さいのは昔から。諦めろ。後、潤は風呂入ってこい」
潤は脇目も振らずダッシュで風呂場へと向かった。
◆◆◆◆
「さて、なんで一日止めて欲しいんだ?理由くらいあるだろ。」
「さっすが、お兄ちゃん!泊めてくれるんだn……」
「まだ、泊めるとは言っとらん」
「ね…………むぅ。せめてボクが言い終わってから反論してよ」
「あの、潤様。こんな変態の地味顔の家にわざわざ泊まらなくともネカフェがあります。別に大丈夫です」
「さっきから地味顔地味顔うるせぇんだよっ!コンプレックスなんだよっ!地味顔で悪いかコノヤロー!」
「わぁ、お兄ちゃんおこだよー」
「こんな短気な変態の家に泊まるなるなんて…………犬小屋で暮らした方がまだマシかも」
「短気ならまだしも変態って…………なんでわかったんだ?」
「「認めるんかい!」」
おおぅ、二人揃って息がいいな。俺が変態だなんて今に始まったことじゃな気だろうが。まぁ、北上……なんとかに言われるならわかるが潤はもう知ってることだろうに。
ていうか、いい具合にカオスなんだけど、この会話。ただ理由を聞くだけでどれだけ時間食ってんだよ。
「で、理由は?」
俺が聞くと北上……なんとかが口を開く。
「親と意見が合わなかったので家出しました」
「予想を斜め87度上を行くくらいどうでもいい理由だった!?」
なんだよ、ネカフェ行けよ。俺んちなんか寄らずにさっさとネカフェ行けばよかったじゃねぇか。
てか、親と意見が合わなかっただけで家出かよ。俺の立場になってみろ。ネカフェが家になってるところだぞ。
「意味わからない例えですのね」
「意味わからないのはおめぇの頭だ、ボケ」
「?あなたの方が地味ですし」
「悪かったな、地味で!」