2
1/25 一部修正。
皆さん、こんにちわ。
要優って言う。
………………俺は日本人だからな?
まあ、前回言ったから良いや。
俺は何時もの地味男スタイルで机に突っ伏していた。ひんやりしていて気持ち良いので、クセになる。
しかし、今日は何だかクラスの雰囲気が違う。
なんと言うか騒がしい。
もっとも、俺は自分のリラックスタイムが邪魔されたことにイラつきを覚えたがな………。
それは、それで置いといて、担任が入ってきたので顔を上げる。
成績も関係してくるのでせめて先生には良い印象を与えなければならない。
その努力が報われたことはないけど。
そんな俺の気持ちなんか知らないで担任は淡々と話始めた。
「えぇ~、もう少しで体育大会だ。皆は体の準備は出来たか?俺はお前らに期待している。一人一人が全力で頑張れば優勝も容易い。皆で優勝目指すぞっ!」
他愛ない会話。生徒達は「オー!」と意気込んでいるので、適当に合わせて「オー…」と言っておいた。
「さて、生徒の諸君。ここからがお待ちかね――」
生徒達のざわめきが増した。
何か有ったっけ?本当に俺って情報に関心がないなと思ってしまう。
めんどくさい、めんどくさいと思っていても、皆が気になるものは俺だって気になるものだ。
どんなものか少しの期待を抱いた。
「――転校生だ」
俺のボルテージが一気に下がった。
興味が失ったとでも言っておこうか。
「かなりの別嬪さんだぞ」
主に男子の歓声が上がる。
あぁ、机のひんやりを早く味わいたい。
「入ってきてくれ」
ガララ………と開かれたドアからは、三人の美少女が入ってきた。
確かに別嬪さんだが、興味は失せた。どうせ予め潤がフラグを建てているような気がしたからだ。
何となく勘で分かる。
「あー、潤くんだー!」
やっぱりな………。
潤に声をかけたのは人なつっこい笑みを浮かべる、ボブカットのボーイッシュな少女だった。
ちなみに周りのリアル充実軍団はとてつもない殺気を放っていた。
ストレスよりも蛇に睨まれた蛙のような気持ちになった。冷や汗が止まらない。
「自己紹介をしてくれ」
担任が言う。
最初に教壇に立ったのは潤と面識のあるボーイッシュな女の子だった。
「私は宮本由利子って言うわっ!皆呼びやすい名前で呼んでねっ!」
いつも元気そうな活発少女。
ただ、煩いだけとも捉えられる。
次の女の子は少し大人しめな雰囲気だ。
「私は、えっと…安東由奈って言います。…宜しくです」
雰囲気どうりだった。
追記はなし。
次は、うわ、めっちゃ美少女やn………って、おいっ。何で潤の所に行くんだ。まさか、こいつもフラグ回収済みだと言うのか。
潤のリア充軍団の警戒心が増した。
うぅ~。ピリピリするわ~。少し鳥肌が立った。
「ねぇ、貴方?」
「何か――」
「――貴方じゃないわ。隣よ。」
潤が答えたらセリフを被せてまで否定した。ざまぁ!………って、へっ、俺?
俺に何か用なのだろうか………?
てか、俺が何かしたか?
もしかして、一目惚れっ!?モテキが俺にも来たのか!!
………………無いな。絶対に無い。
コクられたことはあるが、遊びでしたって言われてすぐに別れさせられたことがある。
すこし、トラウマだったりする。
あっ、でもリア充軍団の殺気が少し減ったので良かった。
いつまでも黙っていたら悪いので返事を返す。
「何だ?」
「付き合ってよ」
「断る」
急に何言ってんの?惚れたの?ねぇ、俺に惚れたの?
突然のことだから断っちゃったじゃん。
いや、でもダメだ。こう言う女は逆ハーして男集めて楽しんでいる可能性がある。
だいたい俺はこんなやつにモテないよ。きっと、アイツもお遊びだ。そう心に決めつけた。
やっぱり、断っておいてよかったと自己完結しておく。
べ、別にもったいないとか思ってないんだからねっ!
一方、教室の生徒は………、
『………へっ?』
間の抜けた声が重なっていた。えっ、俺何か地雷踏んだか?
暫くの沈黙。そして、次にざわめき。
まぁ、気にすることじゃないな。気にしたら負けだ。
べ、別に怖いとかじゃないんだからねっ!
「な、何故ダメなの?」
「今はホームルーム中だぞ。あんまり長話はダメだと思うぞ」
とりあえず話をそらしておく。
目の前の少女はハッと目を見開き、周りを見渡す。生徒のほぼ全員が自分を見ていると知ると顔を赤くさせて教壇に戻っていく。
事実女の子と面を向かわせて話したのは久し振りなので緊張した。心臓バクバクである。
一方彼女は教壇に戻ったあと短く淡々と「夜空実里宜しく」と言った。
まったく、今日は濃い一日になりそうだ。
俺は密かに思った。
余談だがこのあとリア充軍団(女)に潤はこってりと絞られていた。
少し同情してしまった。
◆ ◆ ◆ ◆
彼は私のことを覚えていないようだった。
だけど私は貴方のことを覚えている。
貴方はいつも皆に冷たい。そして、優しい。
矛盾しているが実際そうなのだ。
そして、今日。私は彼の冷たい部分を見てきた。
変わっていないようで何よりだった。今度は彼の優しかった部分を見たい。
たとえ、私を忘れていようと私は諦めない。
彼に思い出してもらうまで、諦めないんだからっ!!
◆ ◆ ◆ ◆
一目見た彼を一言で表すなら、「面白い」だろうか。
自分で言うのも難だが、普通の子よりも私は容姿に優れているという自覚がある。
なので、私には良く下心満載で近付いてくる輩が多かった。
そのせいか、男の下心の籠った視線は嫌でも分かるようになった。
私は学校を転々とした。
理由は簡単。下心の視線に耐えられなかったからだ。
舐められるようにねちっこい視線。そんな学園生活に段々私は嫌気がさしていた。
だから、この高校に来たときも、前と同じなんだろうと決めつけていた。
そして、教室。
どうせここも一週間で離れることになるのだろう。そんな気持ちで教室の中へと足を進めた。
教室に入ると、驚きの視線。そのあとに好奇や下心の視線。
予想どうりの感じだ。
一瞬そう感じた。しかし違和感もあった。
男子の好奇や下心ではなければ女子の妬みや憎みなどでもない、他の何か。
自分の自己紹介まで、少しその視線の主を探すことにした。
案外視線の主は早く見つかった。
周りを美男美女に囲まれた地味な男の子だった。
長めの前髪に眼鏡。モブと言っても違和感がなかった。
しかし、視線は違った。めんどくさそうに、丸で興味がないようだ。しかし、気を抜けばその鋭い視線に射抜かれるような、そんな感じがした。
私はそんな彼に惹かれた。
話しかけずにはいられなかった。
「付き合ってよ」
男子とあまり話したことがないのでぶっきらぼうになったが、言えた。
最初に言ったが、私は自分の容姿には少し自信がある。
見た限り彼はモテなさそうだ。多分女の子に話しかけられもしないだろう。彼には悪いが。
ちょっと、反応が気になる。案外うぶだったりして………。
ワクワクしながらも彼を見据えた。
しかし、彼から返ってきた返答は私の予想を裏切った。
私を裏切った言葉は――
「――断る」
その一言だった。