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遅くなりました!
はぁ、めんどくせ。
開始早々どうしたってか?そのまんまの意味だよ。
赤にはこっぴどく絞られるし、潤が成り行きで生活応援部に入るし、それにつられて夜空も入ってきた。
夜空はまだ良いとしてなんで潤が入ってくるんだよ。拷問か?
そんなことを思いながら潤をチラ見した。熱心に赤の話を聞いている。あっ、ちなみに今部活について会議中な。
みんな熱心なこって…………。あっ、やべ。あくび出た。
「ちょっと、優!アンタちゃんと話聞いてるの!?」
「んー」
自分でも見事だなと思うくらいの生返事が出た。
「じゃあ言ってみなさい」
ニヤニヤと意地の悪いかおをさらに歪めて聞いてくる。
「今度の体育祭の運営の手伝いの係決めだろ。あっ、俺放送が良いな」
「あなたの希望なんて聞いてないから!」
急に怒鳴られた。少し目線を合わせると爪をギチギチと噛む赤の姿が目にはいるの。おい、爪割れるぞ?
それにしてもよく話の内容覚えていたな……、俺。本当、驚き、桃の木、びっくりド○キー。いい気味だぜ、イエーイ。
「優殿が放送するなら私も……」
「放送は一人で充分よ。運営の方からもう一人出るらしいから」
「そうか……」
明らかにショボくれる槙春。はっ、ざまぁ!放送は誰にも渡さん。だって、動かなくていいからね。
「槙春は敬老招待の組分けを手伝ってちょうだい。勿論私と一緒よ」
「あ、あの……、俺は?」
潤が困ったように手をあげた。
……隅っこで誰かの応援でもしてたらどうだ(笑)
「そうね……貴方も敬老招待の組分けを手伝って」
「うん、解った」
うお、眩しッッ!
直視できないほどの笑顔を向けられ顔を歪めた俺。きっと、今のでほとんどの女子がコロッと逝っちゃうんだろう。………確信。
「あっ、私は?」
「特にないね」
「そうか」
夜空だけ扱いが酷いような気がするが………。
……ん?待てよ。特にない……のか。
「おい、夜空!」
「えっ、な、何!?」
夜空はごくっと喉を鳴らす。
…………ような気がした。雰囲気的にそんな気がしただけだからな。
「仕事交換しないか?」
「………」
「あべしッッ!」
なんか蹴られた。しかも、顔面。
………何故に!?ちょ、最近の女子は凶暴すぎないか?少なくとも俺はそう思った。
キングコングのゴリラがメスで握りしめられてるのが男、位の逆転劇だと思う。
もっと昔は男が上だったんだぞ!男の方が強いんだぞ!(物理的)
と言ってもまぁ、女子も充分強いんだがな(精神的)
とりあえず顔面を抑えた。いや、痛いんだよ?女子と言っても普通に蹴られれば痛いからね。
てか、顔を抑えて気づいたんだがメガネどっか飛んでったわ。
これは結構ヤバイぞ。
不細工だと言うことがバレてしまう!じょ、女子が離れていってしまう!そんなの嫌だよ、ママァ~!
「ご、ごめんなさい……。そんな強くやるつもりはなかったんだけど……」
「いいから早くメガネ取って」
俺は顔を抑えながら言った。
「そんなに痛かった?」
実際は顔バレしないようにするのが八割、痛いのが二割くらいだ。いや、一割もないかもしれん……。
「そんなのいいから早くメガネ……」
「あっ、うん」
足音が離れていく。数秒後足音が戻ってきた。
「手出して」
「おう」
片方の手をだした。勿論もう片方の手は顔を隠したまんまだ。ここまで来ると執念が出てくる。
「……っ!」
俺の手にメガネをおいた瞬間夜空の腕がなんかブレた。
わかりづらいってか?俺も形容しがたいんだよ。
とにかく、なんかブレた。そして頭突きされた。ねぇ、俺なんか悪いことしかな。
「いったぁ……」
思わず頭を抑える。アレだ。頭に物置に詰め込んでおいた段ボールの束が落ちてきたくらい痛いわ。
てか、なんか体が全体的に重いんだが。ものすごく悪い予感しかしない。
俺は恐る恐る目を開けた。
「あっ……」
ドがつくほどアップの夜空フェイス。……………ファッ!?
カァ、と顔が熱くなる。勿論美少女にのし掛かられたとか見つめてしまったとかそんなことではなくて、自分の不細工な顔を見られてしまったという気持ちの方が強い。
心なしか夜空の顔も赤くなっている。不細工に対しての恐怖心とか拒絶心とかそんな感じですか?もしそうだったら泣けてくる。てか、泣く。
もう、いっそのこと叫んでしまおうか。
「――みふにゃぁッ(見るなぁ)……!」
「うぇっ?」
叫ぼうと思ったら喉がつっかえて上手く声が出なかった。代わりに情けない声。恥ずかしいなぁ、もう……!
とりあえず無理やり体を起こし隣に転がっていたメガネをかける。………もう、遅いけど。
なんか、気恥ずかしくなったから顔を逸らしておいた。
◆◆◆◆
死ねる。
恥ずかしすぎて死ねる。あと、悲しさも添えてね。
あれ以来みんな顔を合わしてくれないんだが。やっぱり不細工って社会的に地位が低いんだろうな。
うん、俺今日から全国の不細工を敬って生きようと思う。
そんなこんなで俺は今会議室を出て保健室に向かっている。デコが腫れてきてなおんねぇし、地味に痛い。
マンガみたいに一コマ進んだら治ってるってことはないのでひたすら我慢するしかないのだ。
一階に向かい保健室に入る。
「あらぁ、運動部の子?」
妙にポワンポワンした声で保健室の主が出てきた。………なんか、今のRPGっぽくね?あっ、それは流石にない?そうですか……。
ていうか、この人どっかで見たことがあるような気がする。気のせいかな。いや、むしろその方がいい。多分関わったら面倒なタイプだコイツ。
次の次くらいの話から新しい章にはいと思います。
あくまで予定です。