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 がんばります。

「えー、突然だが今日は転入生が来ている」


 辺りがざわめいた。俺もざわめいた、もちろん心のなかで。話す相手が居ないのにざわめけるはずないだろ。


「煩い、静かにしろ」


 担任はめんどくさそうに手をヒラヒラさせた。

 俺もそれを合図に机に突っ伏した。


「男子諸君に朗報だ。かなりのべっぴんだぞ」


 今度は男子だけがざわめいた。

 しかしな男子どもよ。よーくその煩悩を働かせてみな。どうせ、潤にとられてしまうんだ。そんな些細な望みなんて捨ててしまった方が身のためだと思うぜ。少なくとも俺はな。

 ガラガラと扉を開く音がする。と同時に男子の、「おぉー!」という声がこだました。

 おい、お前ら合唱団つくらないか?お前らの声なら全国狙えるぞ。………いや、わりとマジで、うん。


「コイツが今回転入することになった夜空美里だ。みんな仲良くするように」


 ふーん珍しい名前だな………。

 ………。

 ――おい、ちょっと待て。今なんつった?

 俺は急いで顔をあげた。あげた勢いで首がつりかけたがなんとか大丈夫だった。………後で湿布張っとこ。

 隣を見ると潤はこちらを見てニヤニヤしていた。

 な、なんだよ気持ちわりぃ。俺にそんな性癖無いからな。

 改めて前に向きなおすと美里と目が合う。手を振ってきた。

 アカン、涙出てきた。

 今思えばこの学校でまともに反応してくれたのは美里が初めてだと思うんだが。こんな地味な俺を覚えているなんて…………感激や!

 なんだか恥ずかしくなったので机にまた突っ伏した。

 辺りにざわめきが戻った気がするが、まぁ平気だろ。うん。



◆◆◆◆


 彼は私を覚えていてくれたようだ。素直に嬉しかった。

 思いきって手を振ってみた。

 しかし、彼はまた机に突っ伏してしまった。私何かしてしまったのだろうか?

 わからない。だから悲しいし悔しい。

 どうやったら彼を振り向かせることができるのだろうか?

 彼に対する敵意と私に対する下心が半分ずつの男子の目線と女子の嫉妬の目線に包まれながら私は人知れず考えた。


◆◆◆◆


 休み時間。

 仲の良いもの同士が集まり他愛のない話をし辺りが煩くなる時間帯。俺にとっては苦痛でしかないが。

 本当、友達欲しいです。

 しばらくぼーっとしていると赤がやってくる。


「ちょっと、流石に近づくだけで身構えるのはどうかと思うわよ」


 言われて自分の体を見ると明らかに赤を拒絶していた。

 これはアレだ。反射的なナニかなんだ。てか、普段のお前の行動考えてみろよ。………仕方なくね?

 

「はぁ、まぁいいわ。今日放課後第三会議室に集合ね」

「あぁ、おーけー。………聞いてなかったが俺以外に誰か入っているのか、その部活」

「………行けば分かる」


 ちょっと、待てやごらぁぁぁぁ!

 なんなんだその意味深な間は!


「なぁ、おい………う、嘘だろ?」

「………あなた一人よ」


 のぉぉぉぉぉぉぉッッ!

 マジか!?マジで一人なのか俺は!

 くそぉう!あわよくば友達作ろうと思ったのに!


「あの………」


 槙春が声をかけてきた。


「優殿。私その部活に入ろうか?」

「うおおおおおッッ!!まきはるううううううッッ!!」


 お前やっぱり良いやつだ!

 とっさに抱きついたのは仕方ないことだと思う。


「ちょ、優殿!?」


 あっ、やべ。お前女だったな。話しやすいからどうしてもそんな気がしないんだよね。


「うう………」


 急に槙春が泣きながらうずくまる。

 えっ、ちょっとどうしたお前?


「声出てたわよ」


 赤が呆れたように告げた。

 ……………。

 スマン、槙春。


「ああ~。槙春が入るなら私も入ろうかな――」

「嫌だ」


 あっ、やべ。つい反射で言っちまった。

 赤を見るとみるみる機嫌が悪くなっていくのがわかった。


「ちょっと、それどういう意味?」


 そりゃ、そのまんまの意味だけどさ……。

 ああ、やべー地雷だぁ。





 次回からは部活として活動を始めるかな~?


 ともあれこれからも宜しくお願いします!

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