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ゆっくりしていってね


 一日とは早いものである。燃えるように紅い日はもう西に傾き反対には月が見え始めていた。

 俺は一日中ゴロゴロダラダラしていた。もう暇で暇で死ぬかと思ったわ。

 潤を暇潰し相手にしようとしたのだが、会いたい人がいるからと言って出ていった。

 そこから俺の地獄は始まった。

 スマホ開く。前の課金請求のページに行ったからなのかウイルスに掛かったのか電波が繋がらない。俺は仕方がなくスマホの電源を閉じた。

 次に漫画を読もうとしたのだが、何故か俺の漫画と潤の少女漫画が入れ替わっており読むのを止めた。

 そしてベッドに飛び込み眠る。がすぐに起こされた。

 郵便で制服が届いたからだ。

 早速洗濯をして糊を落とす。こればっかりは洗濯機にぶちこめば良いので後はスイッチを押して洗濯が終わるまでひたすら道行く人々を数え続けた。

 洗濯が終わると今度はドライヤーを片手に温風を制服にあてつづけた。

 ある程度乾いたらアイロンの出番だ。アイロン台に制服を乗せると丁寧にシワの付かないように心掛けながらアイロンをかけた。


「ふぅ………」


 終わった………。畳まれた制服を見ながら変な達成感に包まれた。

 普通の男子高校生なら嫌がってしないことも今なら出来そうな気がした。

 ふと時計を見た。十二時を少し過ぎたところ。………昼飯食ってねぇや。

 急いで俺はカップラーメンを取りにキッチンに向かった。

 ………これからどうしょうか。俺はカップラーメンにお湯を淹れながら考えた。午前は暇を潰せたとはいえこれからの予定は考えていない。――外に出ようと思ったのだが何か嫌な予感がしたので止めておく。

 ゴー、トゥー、ベッドしようかと思ったのだが、さっきの制服仕立て作業で覚めてしまった。

 とりあえず部屋をゴロゴロする。世界が廻る~。世界が廻るぅぅ~~。

 しばらくそうしていたが、不意に動きを止める。そして目を見開いたままこう思った。

 ――暇だ。

 そして冒頭に戻る。本当にやることないんだ。てか、ずっと夕方まで転がり続けたんだぜ。俺すごくね?………はぁ、誰か助けて。

 そんなことを思っていたらピンポーンと妙に甲高いチャイムがなった。


「僕だよ~」

「………」


 なんだ。リア充か。なら無視して良いや。

 俺は足を止めてクルリと回れ右をすると寝室に向かう。


「無視しないでくれよ!」


 あゎー、うるさいうるさい。

 お前なんて知らね、知ってても知らね。


「せっかく人生ゲーム持ってきたのに………」

「なぜそれを言わない!」


 俺はケンシロウも驚きの素早さで玄関に出た。勿論眼鏡は付けた。


「………誰?」

「ん?友達」


 リア充は二人の美少女を連れて来ていた。一人はセミロングの少し堅物そうな美少女、もう一人は………大人やん。これあれだ。ぽわぽわ系女子って言うやつだ。

 しかしなぁ、潤………クソヤローといっしょの時点で俺は眼中にないだろう。はぁ………。


「どうしたのため息なんてついて………。てか部屋空いてる?無理なら諦めるよ」


 なんでこう無自覚でイケメン発言してくんだよ。なんなの、惚れてまうやろ。


「別に平気。ちっと散らかってるけど我慢してくれ」


 と潤以外の二人に言った。返事をしたのは潤だけだったが………。――お前に言ってねぇよ!


「ほれ、ここで待っててくれ。今お茶出す」


 一応俺の部屋に入れておく。そしてお茶を出すためにキッチンに向かった。

 やっぱり一人暮らしするなら紺くらいのスキルは付けて置かないとね。

 それにしても女子二人。そんなにまじまじと俺の部屋を見なくて良いだろう。

 ………なんか恥ずかしい………。

 しばらくお湯が沸くまで待つ。しっかしさっきからごそごそ何してんだろ。まぁいいか。

 お湯も沸き上がった事だし急須に空気を入れないようにゆっくりと入れる。そしてしばらく待つ。ここで揺らすと味が落ちる。

 とりあえずお茶の用意はできたので適当にお菓子を繕っておく。女子は甘いものが好きらしいのでポッキーとかチョコとかね。

 俺は扉に手をかけた。


「………お前ら何してんの?」


 なんかぐっしゃぐしゃになってた。主にタンスとか机のしたとか。


「えっ、これは………!」


 必死に弁解しようと手をブンブンと左右に降っているが関係ない。


「言い出しっぺは誰?」


 ゆっくりと優しくしかし威厳を持って少女二人に問いかけた。

 二人とも指を潤に向ける。

 今俺はどんな顔をしているのだろうか。醜く笑っているか或いは憎たらしくへの字に歪んでいるのか。

 しかし関係ない。たとえ涙目になりながら地を這う潤を見てもなにも感じないし共感も出来ない。


「ちょっと出ていってね。すぐ終わるからね」


 ピシャッと閉められた扉からは恐怖してそうでいて何故か嬉しそうな悲鳴が響いた。………らしい。




◆ ◆ ◆ ◆


 俺は今人生ゲームを美少女二人と楽しんでいた。潤はどうやらエロ本を探していたらしい。

 そんなわんぱく坊主には愛の制裁を加えておく。

 するとなんというでしょう。過呼吸気味にへたりこんで気絶してしまったではないか!

 てなわけで潤は放っておいて。美少女達と人生を始めた。

 彼女たちは学校の先生と生徒の関係らしい。セミロングの方は梨木由奈(なしきゆな)と言う名前らしい。こちらは生徒の方である。

 もう一方のぽわぽわさんは牧野菜奈(まきのなな)というらしい。こちらは先生である。

 しかも奇遇なことき俺たちの転校する学校に通っているらしかった。

 これで転校当日ボッチになることはないだろう。


「――お兄ちゃん」

「えっ?」


 ふと後ろを見ると潤が起き上がっている。寝起きなのか髪はボサボサで眠たそうな目をこすっている。

 てか、コイツお兄ちゃんって言っちゃダメだろ!兄妹だってことは内緒だろうが。

 ほら彼女たちもきょとんとしてんじゃん。てかなんで近づいてきてんの!?


「お兄ちゃん、大好き!」


 そのまま抱きついてきた。俺は支えられずに後ろに転がってしまう。

 その間にも潤は頬を俺の胸にすり付けてくる。妙にくすぐったくて「ふぁ」と情けない声がでてしまう。


「おいお前ら見てないで止めるの手伝ってくれ!」


 美少女二人に訴えるも二人はうなずきあって写真を撮り始めた。俺は直感した。「腐ってやがる!」と。


「うぅ~、お兄ちゃぁん………大好きぃ………」


 地声出てるって!勃っちゃう勃っちゃうからぁ!

 彼女たちも鼻を押さえている。どうやら鼻血を抑えているらしい。

 くっそ、役にたたねぇ………。


「むふふぅ………あったかぁい………」


 やめろ………、やめてくれ。


「………気持ちいぃ………」


 ………うぅ。


「………もっと………」

「――もうやめろぉぉぉぉおおぉッッ!!」


 俺の心からの叫びが部屋に響き渡った。






次回は期末があるので再来週になるかな?


でも、出来たら日曜日更新するかも。



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