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再会って感動だよね


さて、今俺はどこにいるでしょーかっ!?そうです王立シャンディス学園の校門です。


え?どうして俺がそんな所にいるかって?決まってんだろ!


「運命を感じたからさ」


「そうですか。では今すぐお帰り下さい」


ぐっはぁぁぁぁぁっ!!!!

やられました。たまたま校門近くにいた女教師に話しかけたらこうなった。


「いや、だからね…俺はフルリナ・ミストマークの知人だから会わせてって言ってんの」


すると目の前の女教師が嘆息する。見た目がクールビューティーな分そんな事をされるとショックが大きい。ちなみに彼女は耳が尖っているので恐らくエルフだ。


「いるんですよね。学園長の知人を名乗って学園長に会おうとする不埒な輩が。なんせ伝説の英雄の一人で傾国級の美女ですからね」


なるほど。確かに500年前のフルリナはかなりの美少女だった。傾国級の美女になったといわれても容易に納得出来る。


「いや、マジで俺知り合いだから」


「信じられません」


はぁ…仕方ない。これはあまり使いたく無かったがやるしかないか。俺は両手首に5個ずつついている腕輪を外す。


その瞬間、俺の身体から大量の魔力が放出される。あまりの魔力にエルフの女教師がたじろぐ。


「…ッ!?」


それを見てすぐに腕輪をつけ直す。これは俺が天界にいる時からつけている魔力制御装置だ。


本来なら一個つけていれば充分なのだが俺は規格外なので十個つけている。


「が、学園長と同じ位の魔力!?」


エルフの女教師が驚いている。もちろん俺は彼女を驚かしたくて魔力を開放した訳ではない。魔力を放出すれば俺がフルリナに気付いたようにフルリナも俺に気付くと思ったからだ。


「………学園長…ええ…はい、わかりました」


目の前のエルフの女教師が何やらぶつぶつと呟いている。恐らく念話でフルリナと会話しているのだろう。


「ついてきて下さい。学園長の所まで案内します」


エルフの女教師は未だに納得のいっていない顔で俺についてくるように促す。その表情も可愛いから問題なしっ!


校門をくぐり学園の中へと入っていく。校庭では何かしらの運動をしている生徒がいる。恐らく部活だろう。校舎の中へ入り奥の方へと進んでいくと豪華な扉が現れる。


「学園長、私です」


扉をノックしてから女教師は中へと入る。それに俺も続く。そして中には懐かしい顔があった。色の薄い金髪に黄金の瞳。


「久しぶりだなフルリナ!随分美人になったな」


「………」


しかしフルリナは何も言わない。隣の女教師もフルリナも俺を訝しげに見ている。恐らく俺が本物か判断しかねているのだろう。


「………本当に貴方なの?」


ようやくフルリナが口を開いた。その言葉には期待と不安が入り混じっていた。


「くくく、本物とは何を持って本物とするのか。すなわち本物が本物であるが故の…本物で…本物の……本物だったり……………つまり俺が本物だっ!!」


腰に手を当て格好つけて誤魔化す。隣からの視線が痛いぜ。でも気にしたら負けさ。


「…なんか性格は本物っぽいわね。でももし貴方が本物ならアレを召喚できるはずよ」


アレ?アレって何だよ。そこはちゃんと言えや!500年も前のことなんか覚えてねーよ!!


「あ、ああ…アレね…任せてよ。か、完璧に召喚しちゃうから」


くそぉっ!!!

こうなればヤケだ。とりあえず何かを召喚するしかないっ。俺は親指を軽く噛み血を出す。それに魔力を込めて召喚魔法を発動させる。


「カモン!アレよデコイ」


しまった!

「出てこい」が慌ててたから「デコイ」になってしまった。いや大丈夫だ。まだいける!


俺の召喚魔法の魔法陣が光り、中から茶色の物体が出て来た。まさかウ○コか!?俺は思わず眼を瞑る。


「どうやら本物のようね」


それを見たフルリナが嬉しそうに告げる。ウ○コを召喚するのが本物の証拠なのかと思い眼を開ける。するそこにはウ○コでは無く、一振りの刀があった。


「炎秋…」


刀の名前は炎秋。茶色の鞘に収まっている刀だ。これは俺が500年前に使っていた四本の刀のうちの一本だ。


一本は妻に。一本は息子に。一本は自分に。一本はフルリナに渡した刀。俺が召喚したのは自分のために残しておいた刀だった。


「本当に本当に本物なのよね?」


フルリナが涙を浮かべながら俺を見つめる。美人のちょっと子供っぽい仕草にドキっとする。


「ああ!この俺は正真正銘お前らのリーダー、アッシュランド・フォーカス様だぜ」


「…ちょっと待って下さい。どういう事ですか?アッシュランド・フォーカスは500年前の人物のはずですよ」


隣から感動の再会を打ち消すように声が聞こえて来た。ちくしょー、もう少しでフルリナを優しく抱き締められたのに。


「500年なんてあってないようなものさ」


「ふざけないで真面目に答えて下さい」


せっかく格好つけたのに一蹴されてしまった。隣のせんせーこわいぜー。


「いいのよエネ。彼が今生きてここにいる。それが重要なの」


フルリナさんカッケー!!!500年前とは大違いだよ。昔はあんなに泣き虫だったというのに。これも年の功ってやつかね。


「……何か言いたそうね、アッシュ」


「ぬぅっ!?め、滅相もありません」


やばかった。眼がマジだったよオイ。女に年の話は厳禁だな。血を見る事になる。


「んでさー、俺がここに来たのはお前以外に頼れる奴がいないからなんだよねー」


ここに来てようやく話が本筋に入る事が出来た。俺は真剣にフルリナの眼を見る。


「だからさ…お前と一緒に居させてくれ!」


その台詞にフルリナの顔が真っ赤に染まる。まるで少女のようにわたわたしている。


「…ふぇ!?わ、私と一緒に…?あ、アシュ兄が…!?」


口調も500年前のものに戻ってしまっている。500年前のフルリナは実力こそあったがまだ幼かった。なので割と年の近かった俺に懐いていたのだ。


「そ、それって…プロポー…」


「違う。ただのヒモ宣言だ」


ブッチィィィ!

何かが切れた音がした。フルリナはコメカミを痙攣させながら怒りに眉をつり上げ此方を見ている。


「そうよね…アッシュは戦う事以外はダメ人間だものね…」


フルリナがカオスになった!

俺は慌てて隣を見るが知らん顔される。まるで自業自得と言っているみたいだ。まぁ実際、自業自得なんだが。


「団体行動が取れない…面倒くさがり…天然のたらし…楽観主義…鈍感……」


「あ、あの…フルリナさん?」


「貴方に期待した私が馬鹿だったわ!!」


フルリナから思いっきりの平手…いや拳が飛んで来る。俺はあまりの恐怖にその場を動けずになすがままに殴られる。


「そんなに居場所が欲しいなら明後日に行う我が校の入学試験に参加しなさい!受かれば寮に入れるから!」



と言う訳で俺の入学試験参加が決定した。何だかんだ言いながらも俺を見捨てなかったフルリナは凄く甘々だと思う。でもそんな彼女の甘さが俺には嬉しかった。

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