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おまかせフルコース

作者:
掲載日:2026/03/15

担当の人がにこやかに言う

「ああ、今回初めてなんですね、では当店、系列店でも大人気のおまかせフルコースになさいますか?」私は同じようににこやかに、お願いします!と答えた。

髪にカラーをしてもらう、待っている間にお飲み物は何がいいですか?と聞かれて

「紅茶をお願いします」と言う。

紅茶を飲んでしばらくすると、妙に眠たくなってきた……


ういいいん、ういいいいん

と遠くで音が聞こえる

ういいいん、ういいいいん

重たいまぶたをうっすら開ける、そこには完全に坊主になった私がいた。

「なんでどうしてあのう、これは夢なんですよね」

と言ってみたが頭皮は涼しかった。

店長さんがやってきた。

鏡の向こうの私は想像以上に似合っていなかった。

「これはどういうことなんですか?」

そういうとにっこり笑って。

「当店ではお客様のご要望により、お客様の髪を使ってかつらを作らせていただいております」

加藤様は少しカットするとおっしゃっていたので、一旦全部剃らせていただいた後に、適切な長さでかつらを制作に入らせていただきます。

「は?え?は?」

あたふたしている私に、店長さんは来店した時のファイルに挟んだ紙を見せてきた。


そこにはかつらにチェック、カラーにチェック、今よりカットにチェック。

更に【騒ぎません、全て委ねます】にチェックが入っていた。


私は呆然とし「こんなの見えない!」

と言ったものの、通用しなかった。


今日は仮のかつらを貸し出されるという、後日かつらが仕上がったら、連絡が入るとの事。

私は泣きながらサインをした。

ついでに次回来店の予約もとった。

説明書の文字は確かに小さかった、私の頭はそれより小さく見えた。


帰宅後、スマホに通知が鳴った。

「Hair Bald head 全国店舗突破!

次回予約完了しました。

お友達紹介割引、次回来店時引きです。

なお、全剃りコースは人気の施術のためキャンセルは不可です」

画面を消してから、店のロゴを懸命に思い出した。

の文字だけ、やけに大きかった気がする。

それでも私は、あれは「お洒落だったな」と思い出していた。





ここまで読んでいただきありがとうございます。

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