第1節 2人の悩み
あれから少しの間あの子は神社から距離を置いていた。
理由はモヤモヤした気持ちの整理をするためだった。そんな気持ちの整理が着くとふと神社に足を運んだ。神社に着くと吸い込まれるように社に座り愚痴をこぼし始めた。
「あれからずっと君と話そうとしたんだ。でもやっぱり話せなかった。本当に私ってだめだよね」
すると「それは違うと思うよ。貴方は自信が無いだけよ、嫌われるのを恐れてるだけだって」
とあの声が話しかけてきた。そして
「そんなんじゃ、いつまでたっても話せないよ。僕が特別に自信がでるおまじない教えてあげるよ。〝会話は挨拶から〟だよ」
と自信満々に言い放った。その言葉にあの子は
「なにそれ、そんなの当たり前じゃん。あーおかしい。まーなんかありがとう」
と笑いながら言うと何か吹っ切れたのか
「また来るよ」と言い残し神社を出て行った。
そのすぐ後くらいに君が来た。
君はあの後も気持ちの整理をする為、毎日のように神社に通っていた。
特に君は引っ越す事と、あの子との関係について相談していた。
それに声は「そう」とだけ返し、君が話し終えると、とひとつひとつアドバイスをしてくれた。
口調は小馬鹿にしたようだったが、どれも丁寧で真剣に答えてくれていると伝わった。
君はそんなアドバイスを不思議と受け入れることができた。
そして悩んでた気持ちの整理がある程度できると「また来るよ」と言っていつものように神社を後にした。