7 1番の穀潰しはルルシアだった
「えっと、オレ等が菓子パンを焼いてたんスよ」
「ほうほう。それで?」
どうせ、腹を空かせてたからあげたら懐いた、とかだろ。
「後ろに気配を感じたから、振り返ってみると」
「この子が居て、パンをあげたら懐いたって事でしょ?」
「その通りッス!」
チラリと美少年に目をやる。ホワイトナチ学園の制服を着た男子生徒で、濃紺の短いストレートの髪。左目は前髪で隠れて見えないが、右目の色は灰色。つまりは…
「ブルーアワ国の人か」
そうそう、ブルーアワ国で思い出したが、あの王女サマは僕にデコピンをされたと騒がなかったらしい。ありがとう。お陰で『ヤベェ奴』に『命知らずの馬鹿』がプラスされる事が回避できたよ。
ま、そんな事は置いておいて。
「で、貴方の帰る場所はあるのかな?」
何だか嫌な予感がするが、一応の質問だ。
「ない」
クールな良い声だ。
(あ、喋れるんだね。ずっと無言だったから、喋れないのかなって思っちゃってたよ)
「追い出された。泊めてくれ」
で、オーウェン達が部屋にあげた訳か…
「食費とかって持ってますかね…?」
「ない」
(だよねぇ…!訳アリですって感じだし!)
因みに、オーウェンも持っていなかった為、イリアの買い物に付き合わされていた。…僕?
僕は、手伝おうとすると拒否られるから何もしてない。嫌がられるから何もしない…それもお手伝いだよね!ね!?
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