1 イリアはペターン
「ふんふんふ〜ん♪」
何故こんなにも機嫌が良いのか聞きたい人も多いであろう。
それは…
(イリアが寮までって聞いた時はショックだったけど、オーウェンは学園まで付いて来てくれる!
何て…何て、幸福なのだろう…!)
味方を得た事だ。悪魔と呼ばれている第3王子、ヴィフィーラ殿下にサインを求めてから一気に周りの対応が変わった。元々、聖女であるヘレナに悪態をついた時点で周りからは『ヤベェ奴』認定されているのだが。
(でもさ、無視はいけないよ…!)
話しかけても無視。悪口は当たり前。僕は悲しいよ…!
(ま、無視や悪口を叩かれたとて、痛くも痒くも無いんだけどね)
それでも、味方をしてくれる人が居れば嬉しい。
以上が上機嫌の理由だ。
さて、先に帰った居候のオーウェンが待つ自室(イリアは友達になった侍女と話していた為、居ない)に入る。
「ただいま」
「あ。お、おお、お帰りなさいッス!」
サササッと何かを後ろに隠した。
(もしかして、ボインのお綺麗なお姉さんが見れる雑誌を読んでたのかな…?そういうお年頃だしね)
隠さなくても、咎めはしないのに。流石にイリアが居たらちょっと申し訳ない。イリアはペターンなので。何処とは言わないけれど、ペターンなので。
「別に隠さなくても良いよ」
「お、追い返さないッスか…?」
怯えながら言われた言葉から察するにボインのお姉さん雑誌では無いらしい。
(猫とか拾って来ちゃったのかな?)
それなら、責任を持たなければならないよ、と口を開こうとしたら…
「…………」
綺麗な瓶覗色の長い髪に左目が青色で右目が黄緑色の美少女が、オーウェンの背中から出て来た。
『瓶覗色』で調べるとどんな感じか分かります!お手数ですが、調べてみて下さい…!




