26 担任は短い白髪に茶色の瞳のおじいちゃん
「い、いや、人違いではないかな?…例えば、私の義兄であられるアストリア殿下とか…?」
ジリジリと後退る殿下に躙り寄る。
「貴方様であっておりますよ」
超絶イケメンな殿下を困らせるのは凄く楽しい。
そこ!サイコパスとか言わない!
「うぅ…。やれば良いのだろう?」
「はい!」
腹を決めて、白紙にペンを走らす。
「ほら!書いたぞ!」
目の前に『ヴィフィーラ・レッドレル』と大きく書かれた2枚の紙を突き出される。
(ヴィフィーラか…。うん、覚えた)
「ありがとうございます、ヴィフィーラ殿下」
満面の笑みとはこの事。
「世の中には物好きな人も居るんだな」
溜息をつき、明らかにこちらを見ている。
「それが何か?」
「は?」
ヴィフィーラ殿下は目を丸くした。
「ですから、『物好きで何が悪いんだ』と申し上げたんです」
心からの本心だ。あまり知られていないであろう魔術を極めている時点で物好きだしね。
「ふはっ。そう来るか」
今度は僕が目を丸くする。
(昔から笑わなかったヴィフィーラ殿下が笑った…?)
昔…5歳くらいの時に…
「お前、名は?」
「え?」
急に現実に戻される。
「だから、名は何だ?」
耳は間違っていなかったらしい。ここで断れば不敬罪かもね。
さっきから、生意気な態度を取ってるからもう手遅れな気がするけど。
「僕は…」
口で『る』の形を作った所で、ガラリと教室の扉が開いた。
呆気に取られる僕等を他所に入って来たのは、杖をついたご年配の男性。
「えぇ…この教室の担任になった、マールじゃ。よろしくのぅ」
スッと時計を見る。
(もうこんな時間か)
「続きはまた今度」
ヴィフィーラ殿下はパチリと僕に向かってウィンクして(女子生徒は黄色い悲鳴を上げた。イケメンだからね)、席に着いた。
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