23 あの事は根に持ってるんで
(『ホワイトナチ学園』って名前だけあって、真っ白だね…)
だだっ広い廊下をボーッと見つめる。
登校時も『憂鬱です』とテロップで入れられるくらいの顔で歩いていた為、周りに人は居ない。完全に、ヤベェ奴扱いだった。
「1のA……ここかぁ」
扉を開ける。
目に飛び込んで来たのは、大学にある様な弧を描いた長机と椅子。バラバラに座る人達と、一角に群がる女子生徒達。
「えぇ!?ヘレナさんは、平民なの!!?」
「うん。でも、わたし、聖女だから特別に入れて貰ったの…」
どうやら、その中心はヘレナらしい。
(無視無視…)
コソッと入り、1番端っこに座る。
まさに陰キャである。見た目は派手だが。
「平民、ねぇ…」
緑色の髪のご令嬢の一言で嫌〜な空気が流れ始める。
「ねぇ、貴方はどう思う?」
明らかに僕を見て話している。
(僕に振りやがった…!)
「どう思う、とは?」
ニコリと笑って、すっとぼける。ワンチャン、振るんじゃねぇよを汲んでくれるかもしれない。
「この平民についてよ」
見逃してはくれないらしい。
(はぁぁぁぁぁ…。面倒だ…)
ヘレナを庇えばご令嬢に嫌われて、虐められる。ヘレナを庇わなければ、僕自身の株が落ちるってとこかな?
「聖女であられるヘレナ様には心から尊敬致します。ですが、『ヘレナさん』と言う人間自体は嫌いです」
ハッキリ自分の気持ちを言ってみた。
褒めて貶す=変わらない、だ。




