13 第3王子様
「はぁ…疲れた…」
入学式は滞り無く終わった。
「あの、ルルシ…ルシア様」
僕はルルシルシアと言う名前では無いと突っ込みたかったが、その言葉は飲み込んだ。
「どうしたの?」
ルシア・ヴァイデット公爵令息。これは、ジェイコブさんが用意してくれた偽名だ。
怪しまれて、調べられてしまった時の為に籍はある…らしい。
(曖昧な言い方だったから、不法なやり方で籍を作ったか、僕を安心させる為の嘘だったのか。僕は前者だと思うんだけどね…)
凄く悪い顔してたもん。
さて、本題に戻そう。
「あの、新入生代表挨拶をしていた人って…第3王子でしたっけ?」
「うん、そうだよ」
短く切った清潔感溢れる黒髪に紅い瞳の第3王子殿下。通称、悪魔王子。妾の子だから、王位継承は剥奪された。王妃様によってね。
いやぁ、我が国の国王様は王妃様に逆らえないからね。大方、王妃様が『うちの子を国王にする為に、王位争いの人数は少ない方が良い!だから、アイツの王位継承を剥奪しろ!』と言われたからだろうけど。
「格好良かったなぁ…」
こう思えるのも、イリアくらいだろう。他の女子生徒は紅い瞳が悪魔みたいと言う何の根拠も無い恐怖に震えているだろうから。
なんせ、僕のイリアは感覚が狂ってしまっているからね。
「同学年だし、また会えると思うよ」
「ホントですか!?約束ですよ!」
「あははは…」
(この明るさに助けられてるけど…。イケメン好きはどうにかして欲しいものだね…)
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