11 羊みたいな雲が3個…。あ。あの雲、猫みたい…。by イリア
「うわぁぁぁん!」
ギャン泣きだ。
泣かせた。僕が。
(え!?ど、どどど、どうしよう…!?……あ、そうだ…!)
「泣くほど怖かったよね。ごめんね」
抱き寄せて、背中を優しく叩く。
(前世で、母さんが僕が大泣きした時にやってくれたんだ。暫くしたら泣き止むと思うんだけど…)
「違います!兄貴!」
腕の中で、顔を上げて上目遣いで見てきた。涙は完全に引っ込んだらしい。
それよりも…
(あ、兄貴…。仮にも女子だし…今は男子だけど…でも、それはちょっと止めてほしいかな…?)
でも、ちゃんと最後まで話を聞こう。遮って、また泣かせなら元も子もないからね。
「兄貴が、『そんな事で』って言わなかったのが嬉しいんです!」
ニカッと笑う姿は、長子属性の心に来る。庇護欲と言うべきか、愛らしいと言うべきか悩むが…。兎に角、そんな感じだ。
「小動物をイジメた程度で、って、いつも怒られるんで!」
確かに、と思う。
この世界では、貴族以外ゴミと言うゲキヤバな思考の持ち主が多数居る。
つまりは、『私達以外の生物は殺しても良い』と言う事だ。
大貴族であるジェイコブさんやスラム育ちのイリアはそんな思考は持っていないそうだが。
(あ、そうだ…。イリア!)
キョロキョロと見回すと、雲の数を数えていた。虚ろな目で。
後で、放置してごめんって謝らなきゃだね。
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