7 疲れた…
「はぁ…。疲れたよ…」
イリアとジェイコブさんにもみくちゃにされて、やっと終わったと思ったら、お次は服の寸法。
そんなこんなで、今はホワイトナチ学園に向かう馬車の中だ。
「でも、すっごく綺麗ですよ」
1人だけ侍従を連れて来なければならなかったので、イリアを連れて来た。何年もの付き合いだから信頼も安心感もあるしね。
「ふふ、ありがとう。これも、イリアとジェイコブさんのお陰だね」
大分疲れたけど。今も疲れが残っているけど。
馬の尻尾みたいなストレートの赤髪を見る。この国では名前が無いけど、日本では『ロングウルフ』と言うらしいよ。
襟足だけ残して他の髪は短く切るやつだね。
皆が疑問に思っているであろう、僕の蒼い瞳にある『六芒星』は気持ちが高ぶらない限りは隠れているんだよ。『宰相』曰く、魔術と魔法を高めたかららしい。
(勉学は心配いらないから、安心だね)
一回読めば覚える大大大天才の頭脳の成果と言うべきか、高学歴の人を唸らせる程に僕の学力は付いている。
だから、ずっと赤点で留年って事には絶対にならない。
この記憶力は『六芒星』とは関係ないね。って『宰相』が言ってた。
「あ、見えてきましたよ!」
イリアが指差した方向に目をやる。
そこには、白色と緑色のお城が聳え立っていた。
あれが、ホワイトナチ学園なのだろう。大分デカいが。お城みたいだが。
(うん、王乙の舞台と同じだね!)
僕はこれから起こるであろう、悪役令嬢と主人公の聖なる恋愛に胸を躍らせていた。
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