38 高い所は苦手
この章が完結したら、主人公以外の誰かの視点でオマケを書こうと思っています!感想と一緒に誰視点が良いか教えて下さい!書ける所だけでも書きます!!
暫く運ばれていたら、慎重に降ろされた。
(前世と変わらず…)
カタカタと震える指を他人事の様に見る。
少し、昔話をしよう。僕が、前世で10歳の頃の出来事だった。
大きい木がシンボルの公園があり、そこにフラリと立ち寄った。
何でかな。今思えば不思議でたまらないが、登りたくなったのだ。
背負っているランドセルをその辺に置いて、『よいしょよいしょ』と登る。その間は良かったのだ。
その間は。
その後、頂点に達した。達成感があったね。さて、そろそろ帰らねばと思い、下を見下ろした。
もう高くて高くて。その日、僕は初めて気絶したよ。
気が付いたら家に居たけど…。死ぬほど怒られた。
余談だが、母が僕を探してウロウロしてたら、公園の木の太い枝に引っ掛かったままの僕を見つけて、一生懸命に助け出したとか。
(あれは怖かったなぁ…)
お叱り含めて全部である。
母は穏やかな人だったので、あんな…般若みたいな形相で叱られたら、ギャップ等々があり、超ビビッた。
「大丈夫…?」
心配そうに瞳を覗き込んできた。
「大丈夫だよ。運んでくれてありがとう」
それちらに体を向けてにこやかに言おうと努力はしたのだが、引き攣った笑みを浮かべただけだった。
「下がって良いよ、ドラ」
あの幼子の声が聞こえた。
「はぁい、『宰相』」
ズンズンと言われた通りに帰っていくドラゴン。
(この声の持ち主が『宰相』って奴なのか…)
「始めまして、今代の王様」
振り返ると、長いストレートの黒髪に金色の瞳で、真っ黒の飾りの無いワンピースを着た幼女が佇んでいた。
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