31 変わってる家族
「あ、着きましたよ」
イリアの声で、のそのそと起き上がる(寝てました。テヘペロ☆…ちょっと…いや、大分キツイ…)
「おぉ…!」
別邸より小さくて、本邸より大きいくらいの屋敷だ。
品がありつつも、豪華さもある。まぁ、簡単に言えばバランスが取れている。別邸はゴテゴテ、本邸は質素な感じだったからね。
この間は良い感じ。
「いっらっしゃぁい。うふふ♡」
ドンドンと足音を立てながら、こちらに向かってくる。
「うわ…」
「ひょぇ…」
2人揃って、ススッと馬車の扉から離れる。
「何で離れるのぉ?」
勢い良く扉が開いた。
思わず、庇うようにイリアの前に出る。
「そんなに警戒しないでも取って食ったりはしないわぁ」
茶色の瞳に亜麻色の鎖骨くらいの髪を後ろに纏め、ムッキムキのボディーを持ちながらフリフリのエプロンを着た、男性?だ。
「アタシはヴァイデット公爵家当主、ジェイコブ・ヴァイデット。趣味は、お菓子作り。よろしくね♡」
名前的には男性らしいが、オネェな方なのだろう。
「ぼ、私は、ルルシアです。こちらはイリア。私の専属侍女です。よろしくお願いします」
その場でカーテシーを披露する。蛇足だが、服は白いシャツに黒のズボンだ。
「うんうん!もっと詳しい自己紹介は後にして、アタシの息子に会いに行きましょう!専属侍女ちゃんは、アタシの侍女長の所へ行って頂戴。ここからは、家族だけでお話したいのよぉ」
「はい」
イリアはその場でお辞儀をし、侍女長さんに付いて行った。
僕はグィッと手を引かれ、その拍子に外に出る。
(わぁ…窓から見る景色と実際に見る景色はこんなにも違うのか…)
キラキラと輝いて見える。
「あの子はね、大体、護衛の駐屯所に居るのよ。男臭いけど、許して頂戴ね」
パチンとウィンクされた。
「お心遣い痛み入ります」
ヴァイデット公爵家に圧倒されていたので、少し反応が遅くなってしまった。
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