22 決着
伸びてて嬉しい…!めっっちゃ嬉しい!!!
「はぁ!?『話し合い』なんてしないに決まってるだろ!」
大の大人が怒鳴り散らす。
「私が誘いましたが、承諾したのは貴方でしょう?」
淡々と無表情で告げる(因みに一人称が『私』だけど、『ルルシア』だよ)。
オドオドするのは駄目だからね。
めっっちゃ怖いけど。
「ぐっ!だが…!」
(まさに『体は大人、中身は子供』だな)
「まず、こちらの疑問に答えて下さい。お父様は何故、フランリーラに固執するのです?」
そこでグダグダするだけ無駄だと思い、無理矢理進める。
「ぼくの妻だからだ!当たり前だろ!?」
(あぁ、この人はずっとお母様の幻影を見てるんだな…でも、少しは現実を見てもらわないとね)
「貴方の妻…私の母は6年前に流行病で亡くなられています」
「嘘だ!!あ、アイリアは生きてるじゃないか!!!」
フランリーラを指差す。
「ボクはお母様じゃない!!」
耐えきれなくなったフランリーラが思いっ切り叫ぶ。
「五月蝿い!!お前はアイリア、ぼくの妻だッ!!!」
ダンダンと足を踏み鳴らす。
「ボクはフランリーラ!!姉様の妹であり、このスターリル公爵家の娘だ!!!」
「五月蝿い!五月蝿い!ぼくに従えよッ!お前は、ア・イ・リ・ア、なの!!」
(何か様子がおかしい気がする…?いや、元からか。いやぁ、しかし、中身がやべぇ奴と結婚だなんて、普通は耐えられないな。だが)
「お母様はとても優しく、心が広かったのでしょうね」
ポツリと言葉が溢れた。
「そ、そうだ!アイリアは、特別優しく、特別素晴らしい!!」
途端に上機嫌になる。
「どんな人でしたか?」
僕は目を細めた。
「ど、どんな人…?や、優しくて、常に穏やかに微笑んでる…ぼくの大好きな人」
しどろもどろになりながら、答えた。
「えぇえぇ、そうですよね。では、目の前のフランリーラは?」
おっさんはスッとフランリーラを見た。
そこには怒りと呆れと少しの悲しみを宿した表情があった。
先程言っていた『穏やかな微笑み』とは絶対に違う。
「あれ…?アイリアじゃ、ない…?ち、違う…!いや、でも…」
(よし!揺れた!!)
フランリーラと少しでも違うなら、そこを突こうと言う作戦が大成功した。
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