20 そうだよね
「何とか追い返せたぞ。話し合いの日程は後日、執事長に伝えるそうだ」
堂々と胸を張り、僕に報告してくれるのはフランリーラ。
僕の妹だ。弟では無いよ。断じて。
「まず、報告してくれてありがとうね。承知したよ。それと、話し合いの日はフランリーラも参加して欲しいなぁ…」
ハッキリ『来い』とは言えない。なんて言ったっておっさんがフランリーラに口に出来ないような事をしていたなら(多分だが、やってると思う)、会いたくないだろう。
「うん?当然行くつもりだ」
『当たり前の事を言ってどうした?』と、こちらが非常識な様な言われ方だ。
「アイツには言いたい事が沢山ある」
恐怖は無さそうで何よりだ。
でもね…
「つかぬことを聞くけど…フランリーラって、何歳?」
僕は12歳。小学5年生、もしくは小学6年生と言う年齢だ。
結構、面倒臭い歳だね。周りが見えてきて劣等感に苛まれたり、イジメが過激になったりする。
ふむ、こう考えると扱いにくい歳とも言うのかな?
「何を言っている?当然、10歳だ。姉様の2歳下」
さらりと言うが、その歳でその態度。将来、大物になりそうだ。
今も大物っぽいけど。
「そ、そう…」
(前世の僕は勉強漬けだったから、こんな自由で、何と言うか…怖い物知らずかな?まぁ、小心者の僕には、何年経とうと真似できないモノだろうけどね…)
_余談だが、この夜の入浴タイムは一緒だった。って言うより、乱入して来たんだ。フランリーラが。
全身切り傷だらけ。殆どは古傷だったが、新しいものもあった。
『それ、どうした?』とそれとなく聞いてみた所、『おっさんが情緒不安定の時にやってきた』って。
あのおっさん。許すまじ。
✼
「話し合いの日程は明日の午後だそうです」
あんな出来事があった翌日の夜。相変わらず、昼に忙しい執事長サマは夕食後に日程を伝えてきた。
「「分かった」」
(緊張するなぁ…。でも、ここで認めてもらえないとフランリーラがまた不自由な生活に逆戻りしてしまう…)
「明日は頑張り時だ」
フランリーラは正面に立ち、握手を求めるように右手を僕に向かって突き出す。
(手が震えてる。怖いよね。昨日は『ホントに10歳か?』って思ったけど…やっぱり、子供なんだよね…)
敢えて握手には応じず、そのままフランリーラに抱き着いた。
「うん、頑張ろう」
フランリーラの瞳は涙の膜が張り、反対に僕の瞳は爛々と輝いていた。
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